こんにちは、店長です!
当店で「大塚家具が販売している羽毛布団ダウナをリフォームしてほしい」というご相談を受けるようになったのは2017年が始まりでした。
地元新居浜にお住まいのお客様が15年以上前に購入したダウナをリフォームしてほしいと当店にお持ち込みになり、はじめてダウナを見たときには日本で出回っている羽毛布団と全く違う作り方をしていることにまず驚いてしまった…、ということを今でも鮮明に覚えています。
例えばサイズ。日本基準でシングルサイズの羽毛布団といえば横幅150cmに設定されるのですが、ダウナは横幅155cm。ダブルは日本よりも5cm狭い185cmという仕様です。
たった5cmではありますが「なんで5cm違うのだろう?布団カバーと合わないじゃん」とシンプルに不思議でした。今思えばダウナはドイツ製なので日本基準と違っていることはなんらおかしいことではないと理解できています。
あとは側生地のタイプ。日本製羽毛布団ではほぼ扱わない「平織り」という種類の生地で仕立てられているダウナを見て、その軽さと通気性の良さに驚きました。ふんわりと体にフィットする着心地を感じ、この羽毛布団を包まれている姿を想像するととても気持ち良さそうで、「自分でも使ってみたい」と素直に感じました。
2017年当時。当店では平織り生地の存在は知っていたものの、羽毛布団といえば従来どおりのサテン織り生地を使用することが多かったため、お預かりしたダウナをどのようにリフォームすべきか戸惑いました。
ダウナと同じように平織りを使うべきか、サテン織りに変更しても良いのか。平織りには通気性の高さがネックとなり、羽毛が中から吹き出す可能性があったため「羽毛の吹き出しを解決したい」と持ち込まれた布団にまた平織り生地で新調してもも良いのだろうかと悩みました。
この疑問は製造元にまず聞いてみて、そのうえで自分でしっかり判断するべきだと思い、大塚家具に直接電話で聞いてみたのです。もちろん「愛媛県の寝具専門店・三浦綿業と申します」と名を明かし、大塚家具のスタッフ様にダウナについて色々と質問させていただきました。
生地の組成から通気性、糸の打ち込み本数、中に入っている羽毛の品質、販売スタートしてから何年経過しているのか、お客様が抱えるお悩みに対する見解など、こちらから急にお電話させていただいたにも関わらずとても丁寧にお応えいただいたスタッフ様にはとても感謝しています。
いまでもその問い合わせで得た知識を大切に活用させていただきながら、2017年から現在に至るまで数多くのダウナをお預かりした経験も組み合わせ、お客様からのご相談をお受けしています。もっとこうしたい、ここが不満などの問題点を解決し、ダウナをこれからも愛用していただくためのご提案には、経験と情報は不可欠です。
お客様ごとに異なる事例をいつでも見直せるように、そして多くの方の役に立つことができれば良いなという思いで書き続けているブログ記事。こちらをネット検索で見つけていただくお客様が年々と多くなりました。
西川や丸八、フランスベッド製造の羽毛布団をお預かりすることももちろん多いのですが、今では日本全国のお客様からダウナをはじめとした海外製羽毛布団のお手入れも多く承りながら、情報量と経験を積んでいくことができています。
ダウナをリフォームしたいと思う3つの理由。
一番の理由としては「羽毛の吹き出し、生地が破れた」というトラブル解決のため、ということが挙げられます。
当店に寄せられるご相談件数でも一番多い項目であり、ダウナを10年以上お使いになると次第にホコリや羽毛が生地から吹き出してくるようになるという実感もありますので、お困りの方はぜひお気軽にご相談ください。解決策は必ずあります!
羽毛が吹き出してしまう原因は生地。穴や破れが発生してしまうこともしばしばあるほど繊細な綿100%の生地が使用されているため、長年使用するごとにトラブルが発生するリスクが高まります。
先日お預かりしたダウナも状態をチェックしてみると羽毛の吹き出しがはじまっている箇所がいくつかありました。フェザーという羽根が生地を突き破っている部分もあり、このまま進行してしまうとさらに吹き出しが多くなる可能性があります。
もっとも、ダウナに使用されている羽毛原料はダウン95%フェザー5%という品質です。硬い羽根の芯が付いているフェザーの割合は限りなく少なくなるようコントロールされているので、そうそうに生地を突き破ってくる可能性はないはず。
もし購入年数が浅いにも関わらずフェザーが突き抜けてくるようなことがあれば、こちらもぜひご相談ください。中身を取り出して羽毛品質を第三者目線でチェックします。
二つめの理由は「愛着があるから」ということ。大切に今まで使ってきたダウナ、毎日の眠りを気持ちよく包み込んでくれていた羽毛布団ですから当然捨ててしまうなんてすぐには決断することができません。
ましてや、ご結婚のときに揃えたものだったりご両親やおじいちゃん・おばあちゃんからの贈り物だったりする場合ではなおさら大切な思い出がたくさんつまっているのです。生地が破れていてもなんとかして使い続けたいとお考えの方が多いことも事実です。
当店としては羽毛布団はできる限り長く、そして気持ちよくお使いいただきたいという気持ちがあるので、リフォームというお手入れ方法でお客様の気持ちにも寄り添うことができるのではないかと考えています。
もちろん、劣化が進んで粉々になってしまって再生不可能なお布団でも「リフォームできます!」と嘘をつくようなことはしたくありません。リフォームできるかどうかの確認をしっかり行い、もしリフォームできないと判断した場合にはその理由をきちんとご説明しながら、お客様がこれから羽毛布団を使うであろう10年後、15年後のことを見据えたご案内ができるように心がけています。
三つ目の理由は「やっぱりダウナが気持ち良いから」ということ。
他の布団にはない圧倒的な軽さ、適度な保温性、そして体へのフィット感。これはダウナを使用している人なら全員分かると思います。私も2020年にダウナを大塚家具で購入してからずっと使い続けていますが、やはり日本製にはない独特の寝心地を感じるのです。
羽毛の吹き出しや生地破れ、羽毛の移動・片寄りなどトラブルが起きることもありますが、それでも新品当時のダウナの良さが忘れられない。
そんな思いを受け入れることができるのがリフォームというお手入れです。トラブルをしっかり解決しながら、これからも愛用できるように、そして安心して使い続けることができるように。私たちは一枚ずつ羽毛布団を見つめながらお手入れをしていきます。
お預かりした羽毛布団はひとつずつ工程を進めながらお手入れしていきます。
ダウナから取り出した羽毛。
手作業でじっくりと状態をチェックしてきます。
こちらのダウナは2011年製造ですので、13年間使用されてきたもの。だんだんとホコリのような小さな羽毛が出てくるようですが、手作業で選別してみるとそこまでホコリの量が多くなっていることはありませんでした。
大きな羽毛を集めてみると、こんなにたくさん。本当に綺麗な羽毛が入っているのだと実感できます。
ひとつずつのダウンが大きく膨らみながら空気をしっかり蓄えてくれる。そのダウンがたくさん集まることによって空気の層が出来上がり、ふんわりと柔らかくてあったかい羽毛布団になる。
今回お預かりしたダウナはとても状態が良かったです。これからもまた長くお使いいただける羽毛布団へと再生することができます!
リフォームの完成!
<リフォーム結果>
- ダブルサイズ➡︎ダブルサイズへのリフォーム
- プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
- 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%を300g追加
- 新品生地:綿100%・ドイツ平織り生地(1㎡あたりの重さ:75g)
- キルティング:たて6マス・よこ6マス/マチ8cm
- 羽毛の片寄りを防ぐ完全立体キルト縫製
- 羽毛充てん量:1,240g入り
出来上がり参考価格:115,500円(税込)
今回のお客様は羽毛の吹き出しとともに年数が経過するごとに羽毛が片寄るように感じて、保温性のバランスが悪くなっていることが気がかりだと仰っていました。
それらを解決しながら、ダウナ本来の着心地の良さを取り戻すことができるように、これまで以上に気持ち良い寝心地を実感いただけるようにとリフォームプランを組み立てていきました。
側生地はドイツ製平織り生地。ダウナに使用される生地よりも軽く、それでいて糸の打ち込み本数も多いので強度もアップしています。
極細糸で織り上げた質感は驚くほどのしなやかさ。平織り生地で感じるパリパリとした手触りはありません。しっとりと肌になじむ優しさをそなえています。
サイズは布団カバーと相性が良いようにと日本基準のダブルサイズでお仕立ていたしました。
いつまでも触っていたくなる、このふんわり感。これからもお客様のもとで活躍してくれるはずです。
当店ではどんな羽毛布団でもリフォーム可能です。サイズ、スペック、製造メーカー、生産国、年数が経過してもはやメーカー不明といったケースでも、状態をひとつずつチェックすることで今までわからなかったことをきちんと解明することができます。
お客様を悩ませていた原因は何だったのか・これからどのようにリフォームすれば快適な寝心地をいつまでも実現することができるのか。今まで分からなかったことを丁寧にお伝えするように心がけています。ご相談はぜひお気軽にお申し付けください。