購入から7年。羽毛が吹き出す大塚家具・ダウナ掛け布団を綺麗にリフォーム!

こんにちは、店長です!

2月を迎えて、すっきりとした晴れ間が続く日が多くなっています。寒さが和らぐのはもう少し先になりますが、ゆっくりと春がやってくるのを感じるこの季節。青い空の色を見ていると、気持ちもフワッと軽くなってきます。

さて、今回は東京都にお住まいのお客様からご相談いただいた羽毛布団リフォームの事例です。まだ購入してから日が浅い大塚家具・ダウナのお手入れについてこんなLINEメッセージをいただきました。

2014年1月に大塚家具で購入したダウナの羽毛布団からフェザーが出ているようでシーツ交換の度にフェザーが部屋中に舞ってしまい困っています。

御社でリフォームした場合、破れやすい生地は破れづらい生地に交換されるのでしょうか?それとも現在破れている生地を縫い合わせることになりますか?

こちらがお客様からお預かりしたダウナ。サイズはシングルサイズ、中身の羽毛量は800g、がっつり冬用というよりは春や秋にも使えるようなボリューム感ですね。合い掛け布団というような部類に入ります。

生地には目立った穴や破れは発生していないのですが、LINEで聞いていた通り布団をバッと広げると細かいホコリ状になった羽毛がたくさん吹き出してきます。これでは普段通りの使用もままならず、カバーの付け替えなどの作業も大変だっただろうなと・・・。

表示ラベルには製造年を表す2013の数字。お客様が購入されたのは2014年ですから、使用年数はまだ6,7年ほどしか経っていません。品質レベルでいうと世に出回る羽毛布団の中では上位ランクにあたるダウナですので、このまま使わずに捨ててしまうっていうのはちょっともったいないように感じます。

大塚家具・ダウナ羽毛布団に関するお問い合わせでダントツ一番多いのが「生地トラブルと羽毛の吹き出し」です。

どうしてダウナは羽毛の吹き出しトラブルが多いのか。その原因は生地の通気性の高さにあります。ダウナに使用されている側生地はドイツ製。平織りという織り方で仕立てられているため、重量の軽さと高い通気性を実現することができます。

ダウナ羽毛布団の生地 綿100%平織り 通気度:6cc
一般的な羽毛布団の生地 綿100%サテン織り 通気度:1.8cc

※ダウナ羽毛布団の生地の通気度については当店が研究センターに依頼して検査した結果です。大塚家具にダウナ生地の通気度はどれほどかと質問したところ「3cc以上」という回答でした。

生地の通気性が高いということは羽毛布団にとって良いことです。羽毛に空気がたくさん入り込みながら循環するので、ふんわりとしたボリューム感も出るし湿気も上手く逃してくれるようになります。また、生地が薄いおかげで体温がスムーズに羽毛に伝わります。一般的な羽毛布団よりも早く暖かくなるので、保温性もしっかり感じることができます。

羽毛布団本来の気持ち良さを味わうとすれば、通気性が高い生地を使用することはとても有効です。

ただし、通気度6ccという数値は日本基準で見るといささか高め。羽毛布団の生地に定められている品質基準では通気度3ccほどが適性と言われていて、それ以上通気性の高い生地を使用する場合には羽毛の吹き出しに注意する必要があります。

日本製の羽毛布団のほとんどがサテン織りという生地を使用されているのですが、その理由は「通気性を抑えることができる」から。光沢があってなめらかな肌さわりが高級感を演出するという側面もありますが、綺麗好きな日本人にとってホコリ対策を万全にできるサテン織りが昔から重宝されてきました。

羽毛布団を製造するメーカーとしても「ホコリが出てきた!」とクレームが発生する可能性が高い生地は使いたくないと思っていたのではないでしょうか。

もっとも、通気性の高い生地を使用しても中身の羽毛にホコリが全然混じってなければ吹き出しを極限まで抑えることが可能です。

羽毛布団は耐久年数が非常に長いアイテムですが、10年以上使用すると羽毛に少しずつダメージが蓄積し、小さく崩れてしまう劣化が始まります。品質の高い羽毛であればあるほど綺麗な状態をしっかり維持してくれるのですが、今回のケースはどうでしょうか?生地を開いて羽毛を取り出してみます!

取り出した羽毛がこちら。ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%という原料です。じっくりと時間をかけて生育した大人のグース(ガチョウ)から採取した羽毛ですので、大きくて弾力のあるダウンがたくさん。フェザーという硬い羽根はできる限り排除されているので、重たくガサガサした質感は全然ありません。

状態をチェックするために、手作業で羽毛を選別していきます。

選別していくと羽毛の損傷を発見しました。元々の形が崩れて小さくなっていたり、ホコリのようにファイバー化しています。

このような劣化が多くなるごとに羽毛が吹き出してくる可能性が高まるので、リフォームではできるだけ羽毛の損傷とホコリを取り除きながらキレイな羽毛のみを残していきます。

こちらは綺麗な形を維持している羽毛。先ほどのホコリとは全然違いますね、たんぽぽの綿毛のようにふわふわと飛んでいきそうな感じ。

羽枝と呼ばれる白い糸丈のウネウネも長く残っているので、布団の中でもしっかりと膨らむことができそうです。

綺麗な羽毛がたくさん残っていることをお客様にお伝えして、リフォームを本格的に進めることが決定。また安心してお使いいただける羽毛布団に生まれ変わるように、丁寧にお手入れしていきます!

リフォームの出来上がり!

<リフォーム結果>

シングルサイズ➡︎シングルサイズへのリフォーム

  • プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
  • 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%を200g補充
  • 新品生地:綿100%・80番手平織り(1㎡あたりの重さ:95g)
  • キルティング:たて6×よこ5マスキルト
  • 羽毛充てん量:800g

1枚あたりの出来上がり参考価格:64,000円(税込)

リフォームが無事完成!見た目にもふんわり感が出てきて、とっても気持ち良さそうな羽毛布団に仕上がってくれました。

リフォーム工程としては羽毛のクリーニング・ホコリの除去、側生地の交換、シングルサイズへの仕立て直しを行っております。

お客様を悩ませていた羽毛の吹き出しを解決するため、側生地には日本製の綿100%平織り生地を採用しました。サテン織り生地よりも軽く、通気性も高く維持することができます。(通気度は2.5cc)

羽毛の吹き出しを抑える加工として、スチーム蒸気を当てながらローラーでプレスする目潰しを行っています。このため、ダウナよりも質感が少し硬く感じるのですが1シーズン使うと生地も馴染んで柔らかくなってくれるのでご安心を。

サイズ、羽毛量はお預かりした時と同じ。200gの新品羽毛(ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%)を補充しているので、パワーと保温性もしっかり回復させています。

F様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございます。

新しくなった羽毛布団でぜひゆっくりとおやすみいただければ嬉しいです☆ぜひ今日の夜からお試しくださいませ!