猫のおしっこがついたダウナ羽毛布団。洗濯機で洗っても大丈夫?

こんにちは、店長です!

今回は奈良県にお住まいのお客様からお預かりした羽毛布団のリフォーム事例をご紹介いたします!

SNS経由のDMからお問い合わせいただいたS様。ご相談内容は以下のような内容でした。

はじめまして。こんにちは。奈良県在住です。

去年から御社のHPを拝見しており、とても気になっておりました。ダウナクリエーションの羽毛布団購入後だいたい20年経過しており、クイーンサイズからキングサイズへ変更打ち直ししていただくのにおいくらくらいかかるものなのかお聞きしたく、ご連絡いたしました。

毎年秋冬しか使用しておらず、時々日光のあたる二階の渡り廊下横で干していましたのでまだふくらみはあるし温かさもあると思います。

ただ、過去2回ほどうちの猫が粗相したことがあり、洗濯機で2回洗ったことがあります。

はじめてお問い合わせいただいたのは2022年の2月。猫ちゃんのおしっこがかかってしまったこともあり、ご自身で洗濯機を使用しながら羽毛布団を洗ったことがあるということで、大きなクイーンサイズをお洗濯されたのはかなりの重労働だったと想像いたします。

猫ちゃんのおしっこが付いてしまったり何かをこぼして布団が汚れてしまった場合、まずは応急処置として水で薄めた中性洗剤をふくませたタオルで汚れを拭き取ってあげてください。

その後は天日干しもしくは陰干しで風を通しながら濡れたところを乾かしていくのですが、汚れやニオイが気になる場合にはクリーニング業者もしくは当店のような寝具専門店にご相談ください。適切な方法で丸洗いクリーニングを行うことができるはずです。

個人的には羽毛布団を自宅でお洗濯するのはかなり大変なのでおすすめしません。洗浄後に布団を乾燥させるにはかなり永井時間を要します。乾燥が不十分だと嫌な臭いが残ったりカビが発生したり、羽毛が劣化してしまう可能性があります。

S様は洗濯機で2回洗ったことがあるということですので、購入から20年経過していることも含め、猫ちゃんのおしっこ具合とお洗濯後の状態についてもしっかりチェックする必要がありました。

お客様とはメッセージのやりとりを継続的に行いながら、羽毛布団を使用しなくなる夏場のタイミングでお預かりすることに。旅行がてら布団を持って愛媛に行く!という話もありましたがちょうど台風の時期と重なってしまい、宅配便でこちらに送っていただくことになりました。

こちらが実際にお預かりした羽毛布団。当店でもリフォーム希望でお預かりすることの多い大塚家具製造のダウナ羽毛布団で、サイズはクイーンサイズ(横幅220×210cm)です。

見た目にはかなりふっくらとした状態で、まだまだ現役で使えそうな印象です。ダウナは洗濯すると中に入っている羽毛が絡まって縮んでしまったりボリューム感が減ってしまうことがあるのですが、かなり綺麗に見えます。

メッセージをやりとりしていたとき、正直申し上げると「羽毛は劣化している可能性の方が高いのかなぁ…」と想像していたのですが、良い意味で裏切られました。大変失礼いたしました。。。!

なぜこんなに綺麗なんだろうと思いS様に話を聞いてみると、自宅の階段手すりにダウナを吊るして日頃から頻繁に干していたのだそうです。なるほど、風通しをよくしながら布団にたまってしまう湿気を上手に逃していたのですね!

湿気を逃すことは羽毛布団の状態を綺麗に維持する一番大事なポイントです。大塚家具の店員さんはダウナは干さなくても良いと説明されることがありますが、当店でお預かりするダウナを見る限り、干さないダウナよりも干しているダウナの方が圧倒的に状態が綺麗です。どんな羽毛布団でも定期的にカバーを取り替えながら、お天気の良い日にはぜひ布団を広げて爽やかな風を通してあげてください。

ダウナには絆創膏のようにテープが貼られていました。猫のおしっこがされた場所のマークだったのですが、最初の処置が早かったのかシミは少なく、臭いもありませんでした。ひとまず安心です。

中に入っている羽毛の状態をチェックするため、生地を開いていきます。

羽毛を取り出している様子を撮影した動画もぜひご覧ください↓

取り出した羽毛を手作業で選別してみると、白くてふわふわしている羽毛のなかに混じっている羽根(フェザー)や、経年劣化によって小さくなったダウン、ホコリを発見いたしました。

硬い芯が付いているフェザーは生地を突き破ってしまうことがあるため綺麗に取り除き、小さい羽毛やホコリも保温性の低下につながるため除去していきます。

一方こちらは綺麗な状態をしっかり維持してくれている羽毛たち。びっくりするほど良質なダウンです!まぎれもない、ポーランド産ホワイトマザーグースダウンらしい大きさ・パワー、弾力のあるハリ、そして密度があります。

最近は2010年ごろに製造されたダウナをお預かりすることが多いのですが、今回のは2003年ごろに製造されたもの。やはり2000年前半に採取された羽毛は良質です。実際に布団を開いて直視すれば品質が全然違うことがはっきりわかります。

現在出回っている羽毛、仮にマザーグースダウンと名乗っている原料と勝負したとしても、購入から20年経過しているS様の羽毛の方が品質的にレベルが上だと判断するでしょう。それくらい、品質の優れた羽毛が減ってしまった。言い換えれば未熟な羽毛原料が多くなってしまったということかもしれません。

寝具専門店として原料の品質の違いと差をしっかりと見極めることができるスキルは大切です。品質が高ければ高いほど良い、という短絡的な発言をする必要はないと思いますが、これは良いものですよ!とお客様に伝えていたのが結果的にあまり良くないものだったというケースは絶対に避けなければなりません。

今回もS様からダウナをお預かりし、こうして状態をチェックさせていただくことができて、とても勉強になりました。

本当にありがとうございます!

リフォームが完成!

<リフォームの実施内容>

クイーンサイズからクイーンサイズへのリフォーム

  • お預かりした羽毛布団を解体して中身をすべて取り出す
  • 取り出した羽毛を綺麗に洗浄して汚れやホコリを取り除く
  • 綺麗になった羽毛を乾燥させてふわふわの状態に復元させる
  • 目減りした量やパワーを補うために新品羽毛を補充する
    ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%/フェザー5%を300g使用
  • 側生地はすべて新調する
    綿100%110番手超長綿 平織りバティスト(ドイツ製/ホワイト無地)
  • クイーンサイズ (220×210cm)に仕立てる
  • 立体キルト縫製(よこ7マス/たて6マス)
  • 羽毛量:現状と同じく1.48kg入り

出来上がり合計金額:125,000円(消費税・送料込み)

当初はキングサイズにリフォームしたいというお話でしたが、もともとダウナの横幅は220cmあるので日本基準のキングサイズにしても10cm広くなるだけでした。ですので、現状の海外仕様のサイズそのままに、クイーンサイズにてお仕立ていたしました。

ふっくらとした膨らみ、軽やかな着心地。これらの性能は羽毛をドイツ製綿100%生地で包み込むことで真価を発揮することができます。

日本製生地よりも通気性を高く設定しているので体にぴったりフィットしながら、とてつもなく軽い軽い着心地を実現することができます。おそらくこの羽毛布団を着たあとに日本の羽毛布団を試すと重みで体に負担がかかるような印象を持つはずです。

軽くてあったかい。まさに羽毛布団に求められる着心地の良さを引き出すことができました。

※通気性の優れた生地を使用すると羽毛が吹き出す可能性が上がります。ハウスダストが気になる方やアレルギーをお持ちの方には通気性のバランスを考慮する必要がありますので、ケースバイケースでご提案いたします。

リフォームが仕上がった羽毛布団をS様にお届けしてから数日後、こんなメッセージをいただきました。

羽毛布団がさっき無事届きました。リフォーム前の布団の中に入っていたと思われる羽毛袋を見ました。すごく大きくてふわふわしてて、捨てるのがもったいないくらい暖かい羽毛ですね。

ダマダマになった部分は、洗濯機で洗って潰してしまった部分ですかね。これをほぐして元通りふわふわに戻してくださったんでしょうか。

今年の冬が楽しみです。ありがとうございました。

羽毛自体を綺麗に洗浄することで丸洗いでは取り切れない汚れやホコリに対応し、絡まった羽毛もほぐして一粒ずつのふわふわ状態になるようリフレッシュしています。

良質な羽毛布団ですので捨ててしまうのはとってももったいないです。これからもぜひ末長くご愛用いただきながら、気持ちよくおやすみいただけると嬉しいなと思います。

S様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございました!また何かお困りごとがあればいつでもお申し付けください。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。