こんにちは、店長です！
毎日暑さと戦いながら枕の作製、ベッドのお届けセッティング、羽毛布団のお直し・リフォームに奔走しております。皆さまもこまめに水分補給しながら熱中症に注意していきましょう！
さて、今回は京都市にお住まいのお客様から羽毛布団リフォームのご相談をいただきました。
LINEでお問い合わせをいただきましたので詳細をお伺いしてみると、
大塚家具ダウナ羽毛布団のシングル2枚のリフォームについて。
10年ほど使ってますが暖かさが無くなってきたようなので、購入当初の暖かさにリフォーム希望です。いまからリフォームをお願いして秋頃には間に合いますか？
というご返信。10年ほど使用しているということですが、さすがにダウナを10年で捨ててしまうのは品質的にも価格的にももったいないと個人的に思いますので、適性にリフォームしながらこれからも気持ちよくお使いいただけるように仕上げたい気持ちが強くあります。
というわけでお客様からお預かりした羽毛布団がこちら。
ご夫婦でお使いになっているシングルサイズ羽毛布団のダウナ2枚です。
「ダウナ・レギュラー」と呼ばれるシリーズで、ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%/フェザー5%という品質の羽毛原料が800g入っています。
冬なら1,000g近く入るのがダウナの特徴ですが、ボリューム的に少し抑えめにしながら春でも秋でも使えるようなイメージですね。製造年は2013年でした。
こちらは日本語表記のタグです。
布団を広げてみるとまだまだ布団としての膨らみは維持されているという印象を受けました。ただ、羽毛の膨らみ具合に左右差があるので、布団内部で羽毛の移動・片寄りが発生している可能性があります。
片寄りが出てくると体にぴったり羽毛が沿わなくなるため、本来の保温性が失われてしまうことがあります。
さらに詳しくチェックしていくと、生地に黒い斑点がついている箇所を複数発見しました。これはおそらくカビです。
カビが生えてしまうということは、
- 布団を使用している方の汗や皮脂が布団にたまっている
- 寝室・住宅の湿度が高い
- 布団を日干ししたり乾燥機などを利用する頻度が少ない
という可能性が考えられます。湿気がたまった羽毛布団は着心地が重く感じたり、羽毛が大きく膨らむことができなくなるため、結果的に保温性が少なくなったように感じることがあります。
今回のお客様のお悩みとして「保温性の低下」を抱えておられましたが、もしかしたら羽毛の劣化というよりも湿気による状態変化が要因として大きいのかもしれません。
リフォーム工程では羽毛を洗浄してからしっかりと乾燥させて、元のふわふわの状態に戻してあげることがとても大切だとこのとき感じました。
では中に入っている羽毛の状態をチェックしていきます。
生地を開いて取り出してみると、白くてふわふわの羽毛がたくさん入っていることが確認できました。
感触的にもベタベタした質感はなく、黒い斑点も見受けられません。ほっと一安心です。
手作業で選別してみると羽毛から小さなホコリやゴミが出てきていることが分かります。これは経年劣化によって壊れてしまった羽毛の残骸です。
このようなホコリは保温性の低下につながるとともに生地から吹き出してお部屋を汚してしまうため、リフォーム工程のなかで丁寧に取り除いていきます。
一方こちらは綺麗な状態を維持している羽毛（ダウン）です。
たんぽぽの綿毛のように丸い形をしたダウン。見た目も大きくて密度もしっかりありますので、マザーグースダウンらしい成熟度を感じます。
ポーランドでは生後3年から5年ほど生育した親鳥から羽毛を採取するのですが、子供グースよりも体長が大きくて毛もふさふさしているので保温性・膨らむパワーを比べるとグッと差が出てきます。
品質の高いマザーグースダウンはとても貴重です。採取される量も少ないし、採取できる場所も限られています。
こんなに粒立ちのはっきりしている羽毛を捨ててしまうのは大変もったいないし、これからももっと愛用してほしい。そして長く使いながら「羽毛布団ってやっぱり気持ち良いな」という着心地を味わってほしいと心から思います。
状態チェックを行なった結果はすべてお客様にお伝えし、お預かりした羽毛布団はリフォームする価値があります！とご案内いたしました。
カビが生えていてもリフォームすれば綺麗にお直しすることができます！
リフォームが完成しました！
＜リフォーム実施内容＞
シングルサイズ2枚→シングルサイズ2枚へのリフォーム
- プレミアムダウンウォッシュ（布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する）
- ホコリや劣化した羽毛を綺麗に取り除く
- 新品羽毛の補充：ポーランド産ホワイトマザーグースダウン93%/フェザー7%を合計400g
- 新品生地：綿100%・100番手平織り（1㎡あたりの重さ：85g）
- シングルサイズ（150×210cm）にお仕立て
- 羽毛量：現状と同じ1枚あたり800g入り
- たて6マス、よこ5マスキルト（マチの高さ8cm）
- 羽毛の片寄りを防止する完全立体キルト
2枚の出来上がり合計参考価格：158,000円（消費税・往復送料込み）
リフォームで新しくなった羽毛布団がこちら。お預かりした2枚ともにふわふわの状態を取り戻すことができました。
ダウナ・レギュラーと同じ羽毛量にするため、800g入りで調整。ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%を補充しているので、ダウナ同等の品質を維持することができます。
側生地には綿100%100番手平織りを採用。ダウナと同じく軽量かつ通気性を高くしているタイプの生地ですので、体にぴったり寄り添いながら空気のように軽い着心地をつくりだすことができます。
日本製羽毛布団に多いサテン織りを使用するとなめらかな質感はでるものの、平織りよりも生地が重いのでぼってりとした着心地になってしまうことがあるため、平織りでのリフォームをご案内いたしました。
新しくなった羽毛布団が活躍するのはもう少し先の時期にはなりますが、末長くご愛用いただくことができれば嬉しいなと思います。
これからも丸洗いやクリーニングのお手入れなどを承ることができますので、また何かありましたらお気軽にお申し付けくださいませ。
今後とも何卒よろしくお願いいたします！
