こんにちは、店長です!
今回は東京都にお住まいのお客様から「リフォームのご相談」ということで、大塚家具製のダウナ羽毛布団をお預かりいたしました。
HPのブログを見て、ということでメールでのお問い合わせをいただいたお客様。文面にはこのようなことが書かれていました。
2005年11月にダブルサイズのベッド用に大塚家具で買った羽毛布団(ダウナ)があります。
重さや暖かさに不満はありませんが、17年以上使ってきて一度も羽毛の洗浄をしていないので実は汚れているのではないかが気になっています。
また、引っ越し先が少し狭いこともありこれを機にシングルサイズ1枚に変更したいと思っています。
私自身アトピー性皮膚炎とアレルギー性気管支喘息があり、ダニ・ハウスダストが問題となることから、ダニ対策としてTEIJIN製のダニをガードするカバーを常にかけて使ってきました。そういう意味では側生地にあまりこだわりはありません。
上記を前提に、3つ質問があります。
1,羽毛の汚れ具合や必要充填量で値段が異なると思いますので、値段が確定するのは送付して見ていただいてから見積額をメールなどで教えていただくということになるでしょうか?
2,羽毛布団が到着してからどのくらいで送り返していただくことになるのでしょうか?(おおよその期間で結構です)
3,現住所から発送し、リフォーム後の羽毛布団を別住所(引越し先です)へ送っていただくことは可能でしょうか?
以上、よろしくお願いします。
購入から17年以上経過というダウナ。普段から掛け布団カバーをこまめに付け替えたりお洗濯されていれば布団に汚れが付着することを防止することができるのですが、年数が経過するごとに布団本体の汚れ具合というのも気になってきますよね。
特に今回のお客様はアレルギー/アトピー体質かつ気管支炎もあるということですので、布団からホコリや汚れが出てくる前にしっかり対策しなければいけません。
事前にお客様からいただいたご質問については以下のような回答をお送りいたしました。
- ①
お見積もりについては羽毛の汚れ具合やプランに応じて決定いたし 大塚家具羽毛布団のダブルサイズからシングルサイズへリフォームますので、 実際にお預かりした羽毛布団の状態に応じていくつかお見積もり金 額をご案内させていただきます。 する金額の相場は6万円〜が当店としての実績です。 こちらに羽毛布団が到着してから2週間〜3週間ほどで完成品をお届けいたします。
- リフォーム後の羽毛布団をお引っ越し先にお送りすることはもちろん可能です。
最近ではダブルサイズやクイーンサイズからシングルサイズ1枚、もしくは2枚作製のご依頼をいただくことが多いのですが、ご自宅のリフォームやお引っ越しにともないベッドサイズを変更することで「羽毛布団もサイズ変更したい」というご相談が増えている印象です。
事前に羽毛布団をお預かりして、お引っ越しが落ち着いたタイミングでリフォーム完了した羽毛布団をお届けするということも可能ですので、ぜひお気軽にお申し付けくださいませ。
さて、こちらが実際にお預かりした羽毛布団です。
ブルー色に見えるのがTEIJIN製のダニ対策カバーですね。ポリエステル繊維で超高密度に織られた生地を使用しているため、ダニの侵入はもちろん小さなホコリが出てくる心配も少なくなります。
ただし通気性が限りなくゼロに近づいてしまうため羽毛が呼吸できず湿気がたまってしまうというデメリットもあります。布団のなかに空気が入り込まないため保温性が最大限発揮されないということも考えられますので、ダニ対策を優先させるのか布団の性能を優先させるのか、ここはお客様ごとの事情やケースに応じて判断するべきと当店では考えます。
ダウナに付いていた品質表示ラベルがこちら。ダブルサイズ、羽毛量1,240g入り、2005年製造という情報を読み取ることができました。
お客様が心配されていた汚れ具合ですが、生地自体に目立ったシミなどは見つかりませんでした。
もともとダウナやホワイト色の生地なので、全体的に黄色く変色してきているのかなという印象はあります。
17年経過して布団の中身はどうなっているのでしょうか?実際に開いてチェックしてみます。
取り出した羽毛がこちら。手作業で選別しながらホコリがどれだけ出てくるのかを検証します。
少しずつ羽毛が小さく劣化してきているでしょうか。ちぎれた破片はホコリとして生地が吹き出しやすくなるため、今回リフォームを行うとすれば羽毛を直接洗浄しながらホコリやゴミをしっかり取り除くメンテナンスが有効だと考えます。
ただ、17年経過していても劣化は最小限にとどまっているという印象を受けました。おそらくお客様が大切に、丁寧にダウナをお使いだったのだと思います。
ダウナに使用されるポーランド産ホワイトマザーグースダウンの品質にも助けられていたはずです。良質なマザーグースダウンは潰れにくくホコリになりにくいメリットがあるほか、未熟な羽毛が少ないため空気をたくさん含みながら保温性を発揮してくれる「寝心地の良さ」を感じ取れます。
良質な羽毛をピックアップしてみました。ダウンと呼ばれる、保温性の元になる部位ですね。
たんぽぽの綿毛のように大きな丸いボールの形をしているのが良質な羽毛の証拠です。
並の羽毛であれば経年劣化によって小さくなってしまったり、形が潰れてバランスが悪くなってしまうこともあります。
以上の結果をお客様にきちんとご説明し、お預かりした羽毛布団はリフォームする価値が十分にあることをお伝えいたしました。
リフォームプランに関してはダニ・ホコリ対策を念頭に置きながら、羽毛布団としての着心地の良さを改めて感じて欲しいということも加えて3種類のお見積もりを出させていただきました。
リフォームが完成!
<リフォーム実施内容>
ダブルサイズ→シングルサイズへのリフォーム
- プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
- 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%/フェザー5%を200g
- 新品生地:綿100%・100番手平織織り(1㎡あたりの重さ:85g)
- シングルサイズ(150×210cm)にお仕立て
- 羽毛量:1,050g入り
- 羽毛の片寄りを防ぐ完全立体キルト
- たて6マス、よこ5マスキルト(マチの高さ8cm)
出来上がり参考価格:80,000円(消費税・往復送料込み)
リフォーム内容としては羽毛を綺麗に洗浄して汚れを落とすとともに、ホコリや小さくなった羽毛を取り除くというお手入れを入念に行っています。
さらに、新品羽毛(ダウナと同じポーランド産ホワイトマザーグースダウン)を200g使用し、17年経過してお疲れがたまった羽毛と入れ替えながら状態をさらに良いものにするためのメンテナンスを行いました。
生地は綿100%極細糸で織り上げた平織り。ダウナに比べて軽量かつ通気性を日本基準まで抑えているので、ホコリの吹き出しを比較的コントロールすることができます。
よりホコリが出ないようにするには高密度サテン織り生地などを使用して通気性をなくしていけば良いのですが、せっかくの良質なマザーグースダウンの気持ちよさを感じていただきたいなと思ったので、ダウナと同じく平織り生地でのリフォームをご提案いたしました。
「軽くて、あったかい」という着心地は、理屈抜きで幸せな寝心地をつくりだしてくれます。
リフォームが完成した羽毛布団。こんなにふっくらと仕上がってくれました。
シングルサイズへと形を変え、これからもお客様に愛される羽毛布団になってくれたらいいなと思います。
U様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございました!