こんにちは、店長です!
寝具のお手入れを行っていると、本当に色々な種類・スペック・製造メーカー・特殊な仕立て方をしている布団と巡り合います。
今回は大塚家具が販売しているダウナシリーズ羽毛布団をキレイにリフォームさせていただきました。
お預かりした羽毛布団
お客様からお預かりした羽毛布団がこちら。サイズはシングルサイズ、15年以上使用されているとのことです。
先にも言いましたが、こちらの羽毛布団はIDC大塚家具製。1988年から現在まで販売されている「ダウナ」羽毛布団シリーズです。
ダウナ羽毛布団の特徴は
- ポーランド産の厳選されたマザーグースダウン95%・フェザー5%を使用。
- エジプト超長綿100%の軽量生地を使用。一般羽毛布団よりも通気性に優れる。
- 良質な羽毛&軽量生地を使っているので羽毛の量は冬用で1,050g。この量で保温性が十分確保できる。
- 薬剤を使用しない方法で生地にダウンプルーフ加工を行っている。
という感じ。
簡単にいえば「特選羽毛を軽量生地に入れて仕立てているから超軽い&超あったかい!薬品は使ってないから体にも優しいよ!」ということですね。
数年前まではハンドピック採取での羽毛を使用していたことから、品質のレベルは良好そう(動物愛護の観点から2012年頃に羽毛のハンドピッキングは禁止になっています)。ドイツ製の軽量平織り生地で通気性も向上しているので、羽毛が呼吸しやすく空気をたっぷり含む仕立て方をされています。
お値段はそれなりにお高いです。でも使ってみたら気持ち良いんだろうな~、と素直に思わせてくれます。
ダウナを使うときに注意したいこと
ダウナを使用するうえでひとつだけ注意したいのは羽毛の吹き出し。
その原因は生地にあります。
大塚家具に生地のスペックを問い合わせたところ、織り方は平織り、生地の総重量は688グラム(1㎡あたり約88グラム)・打ち込み本数は295本とのことでした。
一般的な生地(60番手サテン織り・綿100%)は総重量約1,070グラム(1㎡あたり136グラム)・打ち込み本数360本くらいなので、ダウナの生地が相当軽くて糸の本数が少ないことが分かります。
軽くて通気性も良いので、羽毛布団の生地としては理想的。
ですが、通気性が高いということは生地からホコリが出やすいということでもあります。加えて樹脂加工のダウンプルーフを行っていないので、並の羽毛では細かいファイバーやフェザーが吹き出してしまい、ちょっと大変です。
こういう生地には、ホコリの少ない良質なダウンやスティッキーダウン(羽枝が長く羽毛の絡まりが強いダウン)を使用することが定石です。ダウナには「ポメラニアンマザーグース」というダウンボールの大きな羽毛が使用されているので心配ないと思いますが、年数が経ってくると羽毛が壊れて小さなホコリが出てくる可能性はあります。
ダウナの羽毛吹き出し問題はネットのクチコミにもちらほら挙がってきている(真偽は分かりませんが)ので、気になる方は大塚家具に確認してみた方が良いですね。
※羽毛が吹き出しやすいのは大塚家具も認めていて、ダウナの商品説明欄にはスモールフェザーやダウンが吹き出す場合がある、と書かれています。吹き出しが気になる方はダウナではなくティエドールという羽毛布団がおすすめとのことです。
今回お預かりしたお客様も羽毛の吹き出しが少し気になっているご様子でした。
もっとも、生地には穴が開いていたりご自分で補修のために縫い付けている箇所もあるので、このままではもっと羽毛が吹き出してしまいます。
中に入っている羽毛は比較的良い状態で残っていたので、リフォームは十分可能と判断。
どんな羽毛布団に生まれ変わらせるかをお客様と相談しながらプラン決めを行い、リフォームを実際に進めさせていただきました。
リフォームの出来上がり
出来上がった羽毛布団がこちら。綺麗にリフォームが仕上がりました。
<リフォーム内容>
- シングルサイズ⇒シングルサイズへのリフォーム
- プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄)
- 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトグースダウン93%(DP420相当)を300グラム補充
- 新品生地:綿100%・80番手 平織り
- 最終的な羽毛充てん量:1.1kg仕上げ
リフォーム参考価格:58,000円(税込)
お客様からの要望として
- 長い間使用したので、汚れをしっかり取ってスッキリさせたい。
- 軽い着心地と保温性は気に入っていた。以前の使い心地と遜色ないようにリフォームしたい。
という2つのリクエストをいただきました。
羽毛自体に付いた汚れはプレミアムダウンウォッシュでしっかりと洗浄・乾燥。その際に経年劣化で壊れている羽毛は取り除き、その補充分としてホワイトグースダウンを足しました。
軽くてふんわりとした着心地を維持するために、綿100%の平織り生地を採用。
この生地の重さは約735グラム(1㎡あたり94グラム)で、ダウナの生地と遜色ない軽さと通気性を持ち合わせています。さらにお洗濯にも強い平織り生地なので、一般的なサテン生地とは違い洗濯しても通気性がさほど変わらず、羽毛が吹き出す心配も少ないです。
最終的な羽毛の充てん量は1.1kgで仕上げました。
ダウナを解体したときに取れた羽毛の初期量は約1kgでしたが、ホコリになって目減りしていることと15年間のご使用で羽毛自体の質が多少損なわれていると予想。これまでと変わらない十分な保温性を確保するために、100グラム増量仕上げでおつくりいたしました。
見違えるほど綺麗に生まれ変わった羽毛布団、その出来栄えにご満足いただけると思います。
羽毛布団の種類や使う方の好みに合わせて、リフォームの最適な仕立て方は大きく変わります。
リフォームしようかどうか迷われている方はぜひ一度ご相談くださいませ。
⇒お客様がリフォームの感想をブログに書いてくださいました!
https://e-blog.me/2018/12/04/post-6019/