これは流石にダメかも…。生地が破れて布団カバーも外せなくなっった羽毛布団は再生できる?

こんにちは、店長です!

今回は福岡県にお住まいのお客様から羽毛布団の修理、リフォームのご相談をいただきました。

お世話になります。ホームページを拝見し、LINEいたしました。

羽毛布団のリフォームについての相談です。どうぞ宜しくお願い致します。

現在ダウナクリエーション(現在展開あるミディアムやライトではなく、昔からある厚みの分です)、シングル15年近く使用して劣化により生地に穴があき、羽毛がでてきている状態です。

お客様からいただいたLINEのメッセージがこちら。ダウナクリエーションとは大塚家具が販売しているダウナ羽毛布団のことで、名称変更される前のものなので購入時期は15年以上前になると推測できます。

ダウナは製造された年代によって布団のなかに入っている羽毛量が変わります。生地や羽毛原料の質自体は変わりなくずっと同じなのですが、ポテトチップスの中身量が時代によって変わるように、羽毛量も少しずつ変わる、ダウナにはそんな遍歴があります。

当店では一枚ずつ羽毛布団をチェックしながら中身量も測定することができるので、現状どおりのg数にしっかり合わせて調整することができますのでご安心ください。

今回のお客様が抱えるお悩みとしては「生地破れによる羽毛の吹き出し」「15年ほど使用したことでの劣化」という2つのポイントがあります。破れ具合や劣化の状況を詳しく調べるため、羽毛布団を宅配便で送っていただきながらお預かりいたしました。

こちらが実際にお預かりした羽毛布団です。カバーを外すと羽毛がたくさん飛び出してくるため、イエローの布団カバー付きでお送りいただきました。(カバーはリフォーム後にお返しすることができますので問題ございません)

布団を広げてみると、確かに羽毛のふっくらとした膨らみが少ないように見えます。

なんとなくぺちゃんこになっているような感じ。新品のころに比べると軽やかな着心地や心地よい保温性は幾分落ちてしまっているかもしれません。

カバーのファスナーを開けると…。

羽毛がたくさん、溢れるように吹き出しています!これは相当、複数箇所にわたって生地が破れてしまっているかもしれません。

羽毛が溢れるように吹き出しています。こうなってしまうと布団としてのバランスが悪くなり、羽毛の目減りも進行してしまうため心地よい保温性を生み出すことができません。

もっとも、カバーの付け替えも不可能に近いため、普段のご使用がなかなか難しくなってしまいます。小さな羽毛やホコリを吸い込んでしまうとアレルギーや喘息といった健康被害のリスクが上がる可能性があるため、もし同じようなことが起こっている方はぜひ注意してください。

ただ、ここまでなってしまっても、毎日使っている寝具だからこそ思い入れがあるんですよね。

結婚のときに購入したもの、はじめは夫婦で使っていたけれど家族が増えるなかでお子様と一緒に使うようになったり。年数を重ねただけ、大切な思い出が増えていくからなかなか捨てることはできない、というご相談をいただくことは羽毛布団リフォームを受付しているなかで本当に多くあります。

事情を知らなければ、この姿を見ただけだったらすぐに捨ててしまおうという考えになるかもしれませんが、やはり羽毛も天然資源です。再利用できるのであれば、これからも安心して気持ちよくお使いいただける羽毛布団になるよう、丁寧にお手入れを進めていきたいと、私は思います。

お客様には羽毛布団の状態を詳しくご説明させていただき、リフォームするならばどのような方法が最適なのかをお伝えしながら一緒にプランを考えていきました。

リフォームが完成!

お預かりしてから3週間後、羽毛布団のリフォームが無事完成いたしました。仕上がり具合はこんな感じです。

リフォームの工程としては、

  1. お預かりした羽毛布団を解体して中に入っている羽毛をすべて取り出す
  2. 取り出した羽毛をぬるま湯で洗浄し、長年使用での汚れや劣化した羽毛、ホコリを取り除く
  3. 洗浄した羽毛を温風・冷風ともに駆使しながらふわふわに乾燥させる
  4. 目減りした量とパワーを回復させるために新品羽毛を600g補充(ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%を600g使用)
  5. 側生地はすべて新調。日本製の綿100%手平織り生地を採用し、軽さとともに破れにくさ・耐久性をアップさせる
  6. シングルサイズにお仕立て。羽毛量はお預かりしたときと同じ1,050g入り

という流れで進行いたしました。

一番大事な工程は羽毛の洗浄と新品羽毛の追加です。小さな羽毛やホコリが残っていると生地からまた吹き出してしまったり、すぐにぺちゃんこになってしまうため、直接洗浄にて綺麗にクリーニングしていきました。

減ってしまった羽毛の量と膨らむパワーを補うためにポーランド産ホワイトマザーグースダウンを追加。新品のころに感じられたふんわり感ともっちりとした弾力性をしっかり回復させることができています。

側生地は日本製の綿100%タイプ。ダウナに比べると糸が太いため、はじめは少し硬い手触りではあるのですが、1シーズンお使いいただくと馴染んで柔らかくなってくれます。

通気性を調整しているので羽毛の吹き出しが起こりにくく、ダウナのように破れやすい・穴が開きやすいということはありません。ぜひ安心して長くご愛用いただくことができれば嬉しいです。

羽毛量は1,050g入り仕上げ。日本で一般的な羽毛布団は1,200g入りなどもっと多く羽毛が入っているものですが、ダウナは年中通して快適な使い心地を実現しようとしているので、あえて羽毛量が少なくなっています。

気密性、断熱効果の高い住宅が増えている日本の現状を考えると、私も羽毛量が多ければ多いほど良いとはあまり思いません。お使いになる方にとってちょうど良い保温性と着心地が実現できる方が、もっと素敵です。

U様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございます。

リフォームにて新しくなった羽毛布団、ぜひご愛用いただけますと幸いです。使いながら気になることや疑問などあれば、いつでもお気軽にお申し付けくださいませ。

引き続きこれからも寝具と眠りという側面から心地よい暮らしの実現をサポートできればと思います!

何卒よろしくお願いいたします。