まだ3年しか使っていないのに…。羽毛が吹き出す大塚家具ダウナ羽毛布団を直します!

こんにちは、店長です!

過去最高に暑い夏。寝苦しい夜が続くのでエアコンをずっとつけっぱなしで寝ているのですが、空調の風が直接体に当たると冷えすぎて逆にちょっと寒すぎるな…と感じることがあります。

そんなときに恋しくなるのが掛け布団の存在。寝具で体を包み込むことで冷気に体をさらすことなく体温維持することができるとともに、汗や湿気を吸い取りながら湿度コントロールを行う役目も担ってくれます。

体に何も掛けず裸で寝てしまうと風邪をひいてしまいやすいのでお気をつけください!

湿度管理のためにはできる限り吸湿・放湿性能が良い素材の掛け布団がおすすめ。ポリエステルではなく羽毛やウール、コットンなどが夏場の寝具として相性が良いです。

夏でも冬でも活躍してくれる、そんな掛け布団の中でも今回は羽毛布団のお手入れについてご紹介いたします!

羽毛やホコリが吹き出してくるのが悩み…。

ホームページのお問い合わせフォームからご相談いただいた東京都在住のお客様。大塚家具が販売する羽毛布団「ダウナ」をリフォームしたいということでご連絡いただき、実際に羽毛布団をお預かりいたしました。

枚数は2枚、両方ともシングルサイズです。購入からわずか3年しか経過していないのですが、掛け布団カバーを外すと羽毛が吹き出してしまうといいます。ホコリが吹き出すといけないので、カバーは付いたままの状態で宅配便でお送りいただきました。

当店では日本全国から羽毛布団をお預かりしてお手入れを承ることができます。布団配送キットや袋をご用意しておりますので、ご希望の方はぜひお気軽にお申し付けください。

ピンク色のカバーを外して中身を実際にチェックしていきます。

ラベルにドイツの国旗が。ダウナは大塚家具が販売しているのですが製造元はドイツ。日本製とは少し違った素材でつくられている羽毛布団なので、個性的な存在です。

天然素材にこだわり、軽くてあったかいという羽毛布団の着心地を最大限に活かすという考え方はとてもヨーロッパらしいです。

日本語で記載されたタグもあり。サイズや羽毛の品質、量などの情報を読み取ることができます。

さて、まずは生地の表面を確認してみましょう。お客様のお悩みとして「羽毛の吹き出し」ということがあるので、何かトラブルが起きているとすれば生地に原因がありそうです。

表面を拡大してみると、小さな羽毛というかホコリが中から飛び出しています。生地が破れていたり穴が開いているということはありません。生地の目地が緩んできたのか、ちょろちょろとホコリが見え隠れしていました。

すみっこにもこんなにホコリがたまっています。これではカバーを取り替えるたびに羽毛やホコリが舞い上がってしまうので、かなりストレスを感じる状況ですね。

布団を動かすたびにホコリが出てきてしまうので、あっという間に床がホコリまみれに…。羽毛が吹き出しやすいダウナとはいえ、購入から3年という早さでここまでの状況になってしまうのは少し寂しい気持ちになってしまいます。

布団の中はどうなっているのでしょうか?大きくて弾力のある羽毛がちゃんと入っているのか、実際に生地を開いてみます。

取り出した羽毛がこちら。

ダウナにはポーランド産ホワイトマザーグースダウンという成熟した親鳥から採取された羽毛が使用されているのですが、見た目には白くてふわふわと柔らかそうな羽毛という印象です。

手作業で選別してみると、劣化によって小さくなってしまった羽毛やホコリを発見しました。これが生地から吹き出していたホコリそのものです。

使用年数が3年ほどと短いにも関わらず、ホコリの量はちょっと多いなというのが率直な感想です。マザーグースダウンは弾力性が高くてパワーもあるので、本来であれば長年使用しても小さくなりにくいのですが…。

もっと詳しく状態をチェックしてみようということで、羽毛の部位ごとに採取してみました。こちらは硬い芯がついている羽根部分、いわゆるフェザーです。

羽毛は鳥の毛ですのでこのような羽根が混じることは当然あります。ただ、このような大きい羽根は手羽先に生えていることが多いので保温性にはあまり関与しません。羽毛布団の中身として不適合です。

大きな羽根は生地を突き破ったりガサガサとした質感になったりと、良くないことが起きてしまうリスクが高いので本来であれば製造段階で取り除くべき部位ではあります。

当店で用意しているポーランド産羽毛は製造段階で部位ごとに羽毛を選別しているので、このような大きくて硬い羽根が極力混入しないようにしっかりと対策しています。中身が見えない布団だからこそ、品質にはこだわるべきだという考えです。

当店のポーランド産羽毛布団→https://miurasleep.theshop.jp/items/40137398

一方こちらはダウンと呼ばれる綿毛の部位。主に胸に生えている羽毛でふわふわと柔らかく、空気を含みながら大きく広がる性質があります。

このダウンが多ければ多いほど空気を含んで膨らんでくれるので断熱効果を生み出すことができる、いわゆる「軽くてあったかい」着心地を実現してくれます。

ダウン自体はしっかりとした品質を維持していることが分かりました。500円玉ほどの大きさを保ち、密度も十分にあります。こういう良質なダウンをしっかり採用しながら羽毛布団を作製すれば、ホコリの吹き出しも少なくなるし、お客様が安心して長く愛用できる寝具をお届けすることができるはずです。

リフォームが完成!

<リフォーム結果>

  • シングルサイズ2枚➡︎シングルサイズ2枚へのリフォーム
  • プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
  • 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトグースダウン93%を400g追加
  • 新品生地:綿100%・日本製平織り生地(1㎡あたりの重さ:94g)
  • キルティング:たて5マス・よこ6マス/マチ7cm
  • 羽毛充てん量:960g入り

出来上がり参考価格:120,000円(税込) ※一枚あたり60,000円

ホコリを綺麗に取り除き、上質な部分のみを再利用しながらお仕立てした羽毛布団。

ダウナの生地はどうしても通気性が高すぎるので、ホコリや羽毛の吹き出しが発生しにくいように日本製の平織り生地にて新調いたしました。

重くぼってりとした質感のサテン織りとは全く異なる軽やかさを維持しながら、羽毛の吹き出し防止加工(薬品加工は無し)を行なっているので、これからはストレスフリーでお使いいただけると思います。

いつまでも触っていたくなる、羽毛の優しい膨らみ。

羽毛量は現状と同じ960g入りに調整しているため、冬だけではなく年中通してお使いいただけるスタイルは継続できます。

カバーもご返却できたので一安心。

これからはホコリを気にすることなく、ぐっすり快適におやすみいただくことができれば嬉しいなと思います。

F様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございます!

これからも寝具のお手入れやメンテナンス、眠りについてお困りごとがあればいつでもお気軽にご相談くださいませ。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。