こんにちは、店長です!
2023年もあと少しで終わり。今年は新居浜店・松山店ともに忙しなく動き回り、店長も人生初となるポーランドを訪問して現地の農場や羽毛工場、グースの飼育現場を視察するなど、貴重な体験をすることができた1年でした。
残すところ数日ではありますが、2024年に向けて突っ走ります!
さて、今回は岐阜県にお住まいのお客様から羽毛布団をお預かりした事例をご紹介いたします。以前にもご依頼いただいたリピートのお客様なのですが、久しぶりにいただいたLINEメッセージがこちら。
こんにちは、3年ほど前に丸八の羽毛布団をリフォームしていただいた岐阜のSです。
今回 以前と同じ丸八製のシングル羽毛布団のリフォームを考えています。こちらも購入から20年ほど経過した物ですが、何度か猫に粗相されてしまっています。
ここ何年もしまったままで、一度もクリーニングなどしていないため、中の羽毛がリフォーム可能か不安ではありますが、出来ればリフォームをと考えて連絡させていただきました。よろしくお願いいたします。
前回、3年前にお預かりした羽毛布団のリフォームについてはブログと動画にて紹介しておりますので、ぜひご覧ください↓
お預かりした羽毛布団は前回と同じ丸八真綿製のもの。奥様が使用されていたということですが、相談メールにもあった「何度か猫が粗相している」という懸念事項があります。
わんちゃんや猫ちゃんと一緒だったり、小さなお子様と一緒に布団に入るというスタイルでおやすみになっている方は多かれ少なかれ布団に汚れやシミや付着してしまうケースがあります。
軽微な汚れならそれほど問題にならないのですが、何度も同じ場所に汚れがついたり大きなシミを放っておくと生地が弱って穴や破れが発生することがあります。そうなる前に丸洗いやお洗濯などを活用するのがお手入れ方法として考えられるのですが、丸八真綿製の羽毛布団にはシルク生地が使用されていることも多いため、一般的なお洗濯ができない可能性があるのです。
シルク製品はほとんどが手洗い推奨のアイテムゆえにコインランドリーなどでガンガン回しながら洗ってしまうとシワになったり摩擦で表面が毛羽立ったりしてしまうことがあります。
綿100%やポリエステル生地が使用された羽毛布団は「丸洗い可能」と記載されている商品がありますので、定期的にお洗濯したいという希望の方は洗濯表示をぜひチェックしてみてください。
購入から20年ほど経過して中に入っている羽毛にはどのような変化が出てきているのか、実際に羽毛を取り出してチェックしてみます。
手作業で羽毛を選別してみると細かくちぎれた残骸やホコリのようなものを発見いたしました。使うごとにダメージを受けた羽毛はこのように小さくなってしまうことはよくあることで、15年〜20年ほど使用すると細かいファイバーのようなホコリが多くなっていきます。
羽毛布団が以前に比べるとヘタってしまい暖かくなくなってきたと感じる場合、このような羽毛の劣化が進行している可能性があります。ホコリは生地から吹き出しやすくもなるため、ハウスダストやアレルギー体質の方はご注意ください。
一方こちらは大きくて綺麗な形を維持している羽毛です。天然パーマのようなうねりがあり、ダウンと呼ばれる綿毛がふわふわと宙に浮かぶ軽やかさを併せ持っています。
このような羽毛がたくさん残っている羽毛布団は絶対に捨ててはいけません。いくら生地に汚れがついていても、購入から年数が経過していたとしても、中身の羽毛はまだまだ再生可能です。
磨けば光る、ふっくらと膨らみながら保温性を実現してくれる性能がありますので、今回お預かりした素材も新しい羽毛布団へと再利用できると判断いたしました。
リフォームが完成!
<リフォーム結果>
- シングルサイズ➡︎シングルサイズへのリフォーム
- プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
- 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトグースダウン93%を300g補充
- 新品生地:綿100%・80番手サテン織り(1㎡あたりの重さ:114g)
- キルティング:たて6×よこ5マスキルト マチの高さ7cm
- 羽毛充てん量:1.5kg
出来上がり参考価格:64,000円(税込)
完成した羽毛布団がこちら。ふっくらとした仕上がりは保温性を期待できる冬用寝具らしい存在感です。
シングルサイズで羽毛1.5kg入りはかなり多めです。おそらく現在出回っている羽毛布団を探しても見つからないくらいのボリューム感だと思います。
元々お預かりした丸八真綿のものと同じグラム数に設定して作製しているので、現状をできる限り再現しながらリフォームさせていただきました。こういう小回りができることもひとつひとつ作製しているゆえの良いところです。
S様には前回に引き続き、羽毛布団のお手入れについてご相談いただくことができて本当に嬉しく思います。
これからも10年、15年と長くご愛用いただくことができればと思います。気になることや寝具のことはぜひこれからもお気軽にお申し付けくださいませ。
今後とも何卒よろしくお願いいたします!