古くなったドイツ製の羽毛布団を綺麗にリフォームする方法

こんにちは、店長です!

お盆休みの連休が無事終了。気温が高いので熱中症に注意したいところですが、台風の発生や豪雨の影響があったりと天候の不安定さも気になる日々が続いています。

天気が悪いと頭が痛くなったり寝つきがよくなかったりと睡眠の質にも影響します。目覚めのときにはできるだけ太陽の光を体で浴びるようにしたり、空調で温度・湿度をコントロールしたりと、リラックスして横になれる環境を整える習慣づくりがとても大事だなと感じます。

もちろん寝具をキレイに整えることも大切。冬に暖かく眠れるよう、この時期に丸洗いや仕立て直しを検討されている方も多いです。

今回は山梨県のお客様からお預かりした羽毛布団をリフォームさせていただきました。

30年前に購入したドイツ製の羽毛布団。

こちらが実際にお客様からお預かりした羽毛布団です。

お客様から届いたお問い合わせメールにはこんなメッセージがありました。

2018年の千葉のお客様の西ドイツ製羽毛布団打ち直しの記事を見てご連絡させて頂きました。

同じような30年以上前の西ドイツ製羽毛布団を使用していますが、羽毛の飛び散りがひどくなってきたので、メンテナンスをしようか買い換えようか考えています。シングル一枚です。

うっすらタグにポーリッシュ(ポーランド産)グースダウン95%とあります。

おおよその見積りとか、ご相談させて頂くにはどのようにしたらよいでしょうか。

真冬でもこれ一枚で過ごしているので品質はさほど悪くはないのかなと思っており、出来ればメンテナンスして使いたいのですが、あまりに費用が、、であれば考えて直そうかと思います。

当方住まいは山梨県になります。

宜しくお願い致します。

お客様が参考にしていただいたブログ記事はこちら>>【千葉県のお客様】30年前に購入した羽毛布団はリフォームできるのか!?

羽毛布団はもともとヨーロッパ発祥の寝具ですので、海外製羽毛布団に関するお問い合わせは日常的に届くのですが、特にドイツ製のものが数的に多いですね。

今回の羽毛布団は購入から30年以上経過しているのですが、ホワイトグースダウン95%を使用するなど品質が高くて程度も良さそうです。布団を広げてみたときに羽毛の膨らみがしっかりと見えるので、真冬でもこれ一枚で過ごしているというお客様のお話もうなずけます。

ただ、部分的に羽毛の膨らみ具合に差が出てきているようです。布団の真ん中部分よりもサイド側の方が量も多くなっているようで、内部で羽毛の移動と片寄りが発生しています。

今回お預かりした羽毛布団のサイズはシングルサイズでしたので、布団の上下・真ん中に入っている羽毛の移動が激しかったです。グイッと手で引っ張ることも多かったのか襟元あたりの部分も羽毛が少なくなってスカスカに近い状態に。これではせっかくの保温性を十分に感じることができなくなっていたかもしれません。

布団に付いている品質表示タグ。生地の種類や中身の羽毛量、サイズなどの情報が記載されていました。

ドイツ製なのでサイズは幅155×210cm。日本基準のシングルサイズよりも幅が5cm長くなっています。

生地には小さな穴や破れがいくつも発生していました。丁寧に使用していて汚れも少なかったのですが、経年劣化によって弱った生地が耐久性を維持することができず限界を迎えてしまったのでしょう。

このような小さな穴からでも羽毛はどんどん吹き出してしまうため、お部屋を汚してしまったりホコリを吸い込んでしまう原因になります。早急な対策がやはり必要です。

中に入っている羽毛がどのような状態になっているかをチェックするため、生地を少し開いてみました。

取り出した羽毛がこちらです。

ここからより詳しくチェックするため、手作業で羽毛を選別していきます。

まず目についたのが羽毛の劣化部分。長年使用することによってダメージが蓄積した羽毛は小さなホコリへと形を変えてしまいます。

元々は大きくてふわふわとした綿毛のような形をしていたはずですが、細かなホコリとともに小さく劣化した羽毛が目立ちます。このような部分はリフォーム工程「プレミアムダウンウォッシュ」を行いながら汚れとともに綺麗に取り除くことにしました。

このような羽毛の塊もちらほらと。一見大きくてボリューミーな羽毛に見えますが、これは汗や湿気によって羽毛が2つ、3つと絡まりあって硬くなったところです。小麦粉のダマのようなイメージですね。

大きく見えても空気を含みながら軽やかに宙を舞うことはできないので、片寄りの原因や保温性の低下につながります。リフォームではこのような塊をほぐしながら羽毛を一つ一つに分け、再利用できるものを回収していきます。

そしてこちらが綺麗な状態を維持している羽毛たちです。ひとつひとつの羽毛が独立していて、花が開くように大きな形をしています。

粒立ちもはっきりしていて、色もホワイトで。30年経過している今でもこんなに綺麗な状態で残っているなんて驚きです。

この羽毛たちは洗浄によってもっと綺麗になったあと、新しい羽毛布団へと再利用していくことになります。

リフォームの出来上がり!

<リフォーム実施内容>

シングルサイズ➡️シングルサイズ枚へのリフォーム

  • プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
  • 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%/フェザー5%を400g
  • 新品生地:綿100%・80番手平織り(1㎡あたりの重さ:94g)
  • シングルサイズ(150×210cm)にお仕立て
  • 羽毛量:1,200g入り
  • 羽毛の片寄りを防ぐ完全立体キルティング

出来上がり参考価格:90,000円(消費税・往復送料込み)

完成した羽毛布団がこちら。

見るからにふんわりとしたボリューム感を実現することができました。

羽毛洗浄によって目減りした量を補うために、ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%という新品羽毛を400g追加しています。3年から4年ほどじっくり成長した大人のガチョウから採取された羽毛は弾力性抜群で、保温性を発揮してくれるパワーがとても魅力的です。

これからも長くご愛用いただくことができるように、羽毛布団には完全立体キルティングを施しました。

布団のなかで起こる羽毛の移動・片寄りの発生を抑えることができるので、着心地の良さをより長く持続させることができます。

新調した側生地は綿100%の平織り。ドイツ製羽毛布団でもよく使用されるタイプで、サテン織り生地よりも重量が軽く、丸洗いなどのメンテナンスを行っても生地のヨレが少なくて通気性をコントロールすることができます。

大塚家具・ダウナ羽毛布団をリフォームしたいというお客様にもおすすめしている生地です。

リフォームが完成した羽毛布団をお届けした翌日。お客様からこんなメールがいただきました。

三浦綿業 三浦様

お世話になっております。昨日、リフォームされた羽毛布団を受け取りました。この度は細やかな対応と、色々なアドバイスを頂き、ありがとうございました。数年来リフォームか買い換えか悩んでいたので、スッキリしました。

状態を見ていただき、詳しく助言頂けたので有り難かったです。(一般的なお店だと、使用年数で判断され、状態を見ることなく買い換えを勧められる気がしていたので。)

「輸血」が必要な状態ではありましたが、リフォームしてよかったです。大切に使います。

今まで羽毛布団やダウンジャケットの値段の違いが不思議で仕方なかったのですが、今回、三浦綿業様から色々と教えてもらい、自分でも調べてみて、その違いが少しわかりました。

布団のリフォームだけでなく、羽毛に関する知識も得られ、今後の羽毛関連商品の購入時に大いに役立ちそうです。本当にお世話になりました。また何かございましたらご相談させて頂きます。まだまだ猛暑厳しい夏ですが、ご自愛くださいませ。

嬉しいコメントをいただくことができて、本当にありがたい限りです!

この羽毛布団が活躍するのはまだ先になりますが、ぜひ今年の冬もあたたかく・気持ちよくおやすみいただくことができればと願っております。

この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございました!

今後とも何かお困りごとがありましたらお気軽にご相談くださいませ☆