28年前に購入したドイツ特許の羽毛布団はリフォームでキレイになる?

こんにちは、店長です!

今回の羽毛布団リフォームについてのご相談は東京都にお住まいのお客様から。28年前に購入した2組の羽毛布団をリフォームすることができるかどうか、実物を見て判断して欲しいということでお問い合わせいただきました。

お預かりした羽毛布団

お客様からお預かりした羽毛布団がこちらの2枚。

サイズはシングルサイズでご夫婦おふたりが長年ずっと使用されてきたのですが、生地の破れによって羽毛が吹き出してくるようになったことをきっかけにリフォームor買い替えを検討するようになったといいます。

かなり印字が薄くなってしまった品質表示タグ。目を凝らして見てみると、

  • 側生地:表面シルク100%/裏面綿100%
  • 羽毛:ダウン95%/フェザー5%
  • 羽毛量:1.3kg入り

という情報を読み取ることができました。

光沢のある質感はやはりシルク生地によるものだったのですね。羽毛もダウン率95%ということで購入当時はかなりハイクラスの羽毛布団だったと想像いたします。金額も相応のものがなされたはずです。

では1枚ずつ状態をチェックしていきましょう。

お客様が抱える一番のお悩みは「生地破れによる羽毛の吹き出し」。年数が経過するごとに生地の破れが増えてくるようになり、その都度テープで補修しているけれどなかなか根本的な解決にはなりませんでした。

摩擦に弱いシルク生地の羽毛布団は経年劣化によって破れが発生しやすいので、ホコリアレルギーやハウスダストに敏感な方はぜひ注意してください。

今回のお客様もかなり丁寧に補修されているのですが、目には気づかない小さな穴からでも羽毛の吹き出しが発生することがあります。お部屋を汚してしまったり布団カバーの付け替えも大変厄介になりますので早急にお手入れが必要です。

布団を広げたり移動させたりするだけでテーブルの上に羽毛が飛び散っています。日常的にこの吹き出しが発生してくると、かなりのストレスを感じてしまいますよね…。

布団をチェックしているとこんな説明書きを発見。「ドイツ特許羽毛ふとん」というタイトルとともに、布団に施されるキルティングの説明がなされていました。

説明を要約すると「ミシンでキルティングせずにマス目を作っているから、羽毛がより良く膨らんであったかいよ!」という感じ。スミソニアンキルトという仕立て方で20年以上前の羽毛布団業界で流行った方法ですね。

熱でくっつく糊で生地をつなげていきながらマス目を作製する方法で、生地にミシン縫製の穴が開かないのが最大のメリットです。羽毛の吹き出しの原因となるミシン針による穴がないことを謳い文句に販売されていましたが、丸洗いすると糊が落ちてマス目が崩壊してしまったり、生地が破れたら羽毛は吹き出してしまうのであんまり意味がないよねということでだんだんと廃れていきました。

布団を広げてみると羽毛のふんわり感は維持しているように見えます。ただ、羽毛の移動・片寄りは少なからず発生しているようですね。真ん中のボリューム感に比べて端っこの方が羽毛が少なくなっています。

中に入っている羽毛がどのようになっているのか、生地を開いてチェックしてみましょう!

布団から取り出した羽毛がこちら。

ふわふわとした綿毛が多く、硬い羽根芯はざっと見ても少ない印象。表示タグの情報「ダウン95%/フェザー5%」というのは信頼できそうです。

ここから手作業で羽毛を選別していきます。

これは経年劣化によって小さくなった羽毛です。寝返りを繰り返したり布団を引っ張ったり、28年間のうちに布団が受けたさまざまなダメージによって羽毛はだんだんと小さく崩れていきます。やがてホコリやチリのように姿を変えてしまうと吹き出しの原因になるほか、保温性の低下にもつながります。

リフォーム工程ではこのような小さな羽毛・ホコリを丁寧に取り除いていきながらリフレッシュさせていきます。

一方こちらはキレイな形を維持している羽毛です。先ほどの劣化した羽毛とは打って変わって、たんぽぽの綿毛のようにふわふわとした形が特徴的。一粒ずつの輪郭もはっきりしていて弾力性も高いので、おそらく大人になるまで成長したグース(ガチョウ)の羽毛ではないかと推測します。

この羽毛はまだまだ捨てずに再利用する価値が十分ある品質レベルです。洗浄して汚れを落とした後、新しい羽毛布団の中身としてこれからも愛用いただけると判断することができました。

購入から28年が経過していても、品質が良いものは長く使うことができます。

リフォームの出来上がり!

<リフォーム結果>

シングルサイズ➡️シングルサイズへのリフォーム

  • プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
  • 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトグースダウン93%/フェザー7%を300g
  • 新品生地:綿100%・100番手サテン織り(1㎡あたりの重さ:99g)
  • シングルサイズ(150×210cm)にお仕立て
  • 羽毛量:1.15g
  • 羽毛の片寄りを防ぐ完全立体キルト
  • たて5マス・よこ4マス 7cmマチ

1枚あたりの出来上がり参考価格:65,000円(消費税・往復送料込み)

こちらが完成した羽毛布団。ふんわりと軽やかな着心地に仕上がってくれて、店長としても満足のいくお布団です。

ちょうどお引っ越しを迎えるお客様の事情に合わせて、今までのマンションよりも気密性が高く空調設備も整っている寝室にぴったりの着心地を目指しました。

具体的には、

  • 羽毛量は現状よりもあえて少なくして保温性をコントロール
  • 側生地は綿100%。軽量の生地を使用して体への負担を軽減する
  • 羽毛の片寄りを防ぐために完全立体キルト縫製(ミシン)

というポイントが挙げられます。

元々羽毛が1.3kg入っていたのですが、そのままの量にしてしまうと新しいお住まいではおそらく暑すぎて使い物にならなかったのではないかと思います。

冬でもそこまで室温が下がらない住宅の場合、シングルサイズで0.8kg〜1kgほどの羽毛量で十分保温性を感じることができる(もちろん羽毛原料の質によって変わります)ので、そのようなお話をお客様にしながらご提案いたしました。

側生地は綿100%。長くお使いいただいても羽毛の吹き出しが起こりにくいように綿密に織り上げた生地を採用しております。

100番手という極細糸を使用しているため、シルクと同じような柔らかい質感を維持することができます。やっぱりなめらかな肌触りの生地の方が体にぴったりフィットしてくれますね。

リフォームが完成した羽毛布団をお届けしてから数日後、お客様からこんなメッセージをいただきました。

三浦綿業 三浦様

本日、無事手掛けていただいたお布団2組を受け取りました。きれいにしていただきありがとうございました。

三浦様にとてもきめ細やかに、そして丁寧に解説、導いていただき、とても安心してお願いすることができました。当初から想定していた(諦めかけていました)専門的な内容を教えていただきながら、きちんとお願いしたいという想いが現実になりました。

娘との旅行計画の行先の候補地として 四国が上がっておりますが、松山を是非訪れ、三浦様のお店にも伺えたら楽しいね!と話しています。

誠意あるお仕事をされていらっしゃることに感謝いたします。ありがとうございました。

本当にありがたく、またあたたかいお言葉をいただくことができてとても嬉しいです!こちらこそ、ご遠方からご相談いただきまして誠にありがとうございます。

ぜひ四国旅行の途中で当店にお立ち寄りいただくことなんてできれば、とても素敵なことだなぁと思います。

また気になることやお困りごとがあればぜひお気軽にお申し付けくださいませ☆

今後とも何卒よろしくお願いいたします。