ダウナ羽毛布団を元どおりに直すにはどうすれば良いのかを解説します!

こんにちは、店長です!

羽毛布団のリフォームや丸洗いなど日本全国からお問い合わせが続いております。遠く離れた首都圏の方や大阪・愛知・九州にお住まいの方など、当店のブログをくまなくご覧いただいているというお話を多くいただき本当に光栄に思います。皆さま、誠にありがとうございます!

最近ではソファーの背もたれや座面のクッションの丸洗い・お直しについてご相談いただくことも増えています。海外製品も多いので中身の素材や製造方法によってできることとできないことがあるのですが、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。お手入れ方法をいろいろと模索しながらご提案させていただきます。

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さて、今回は東京都にお住まいのお客様からお預かりした「大塚家具・ダウナ羽毛布団」のリフォーム事例をご紹介いたします。

当店ではお馴染みの羽毛布団になりますが、大塚家具が販売している海外製の羽毛布団・ダウナ。西川やマルハチ、東洋羽毛製などの羽毛布団とは少し異なる製法だったり、日本ではあまり見かけない素材を使用していたりするので、しっかりと状態を見極めながらリフォームプランを組み立てる必要があります。

ダブルサイズで使用期間は15年ほど。ここ最近特に羽毛のヘタリやホコリの吹き出しを感じるようになり、リフォームしてもう一度新品の頃に感じていた着心地の良さを取り戻したい!というご相談をお客様から受けました。

布団を広げてみると確かに細かなホコリや羽毛がちらほら吹き出している様子。これはダウナに使用されている側生地の通気性がかなり高く設定されているために起こる現象です。

ダウナの側生地は綿100%の極細糸を平織りという製法で仕立てられています。その特徴は高い通気性と重量の軽さ。日本で一般的な羽毛布団生地の綿100%60番手サテン織りと比較すると3倍の通気性があり、300gほど軽い羽毛布団を作ることができます。

生地が軽くて通気性が高いとどうなるのか→体にぴったりフィットする着心地を段違いに感じることができます。軽い布団なら寝ている間に体から滑り落ちたりしそうなイメージですが、布団がぴったり体に密着することでスキマがなくなり、体温が羽毛に素早く伝わってくれます。布団に入ってから暖かくなるまでのスピードが早いなと個人的に感じるほどです。

この着心地の良さはダウナや平織り生地の羽毛布団を実際に使ったことがある方としか共有できないのですが、どっしりとした安定感ではなく、空気を纏っているような感覚に近いものがあります。興味がある方は当店で実際に試すことができますのでお気軽にお申し付けくださいませ!

この軽さとフィット感はダウナユーザーの方が大変気に入っているポイントです。「できるだけダウナに近い着心地を求めたい」という希望のためには、リフォームする側生地は平織りがおすすめです。ただし、羽毛の吹き出しがどうしても発生しやすくなりますので、軽さも欲しいけれど羽毛の吹き出しも抑えたいとう方にはそれ用に調整した側生地をご提案することができます。

布団を全体的に俯瞰で見てみると、ヘタリとボリュームの低下が部分的に進行しているように感じました。

特にヘタリが発生しているのが襟元のあたり。顔や首周辺は手でぐいっと引っ張ることが多いので、この辺りの羽毛にかかるダメージは他の部分と比べると非常に大きくなります。

こちらはサイドの端っこ部分。同じ布団なのにまだまだ羽毛のパワーを感じる膨らみがあります。見るからに暖かそうですね。

ダウナに使用されている羽毛はポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%という高い品質を誇る原料です。しっかりと空気を含みながら膨らむので、体温を保温する・冷たい外気をシャットダウンするという性能がしっかり体に伝わってきます。

羽毛量はダブルサイズで1.24kg入りと実はかなり少なめです。

西川製の羽毛布団でみるとダブルサイズでは1.7kgから1.8kg入りというのが一般的ですので、それよりも500gほど羽毛量が少ないという計算になります。

羽毛量が少ない理由は、

  • 羽毛の品質が高いので少ない量でも保温性とボリューム感を確保できる
  • 羽毛量を多くすると暑すぎるので逆に使いにくくなる

ということ。少しの量でもしっかり膨らんでくれるので、何も考えずに普段通りたくさん入れるとかえってオーバースペックになってしまいます。

ダウナは冬だけでなく春や秋など年中通して使用されることも多く、気密性の高いマンションや住宅にお住まいの方が使用するならばこれくらいの量がちょうど良いのでは店長は思います。

では布団の中身をチェックしていきましょう。生地を少し開いて羽毛を取り出してみます。

どれほど劣化しているのかを探るため、ヘタリが進行している襟元に近い部分から羽毛を取り出してみました。

こちらが取り出した羽毛です。トレイに広げて選別してみます。

選別してみると細かなホコリがやはり出てきてしまいました。毎日使う中で蓄積されるダメージや汗や湿気など、いろいろな要因によって羽毛の劣化が引き起こされます。

これまで数多くダウナをお預かりしてきた経験を思い返すと、湿気対策を日頃から行っていたかどうかで状態の良し悪しにかなりの差がつくと店長的には感じています。

羽毛の状態をより良く長持ちさせるためには定期的な日干し・陰干しがとても大事です。特にダウナのような密度の濃い羽毛は湿気を一度含んでしまうと乾燥させるのにかなり時間がかかってしまいます。月に一度、よく晴れた日の午前中3時間ほど干しながら湿気を飛ばすことで羽毛の状態を維持することができます。

間違っても圧縮袋の使用は避けてください。収納スペースの確保には確かに有効ですが、中に入れた羽毛布団がぺちゃんこになったまま、ふわふわには戻らなくなってしまいます。

まだまだこんなに綺麗な羽毛がしっかり残っていることも確認いたしました。大きくて弾力があり、パーマがかかるように立体的な形をしている。これが良質な羽毛を見極める目安です。

この状態を確認できたことをお客様にご報告し、リフォームする価値が十分にあるとお伝えいたしました。

「新品の頃のダウナにできるだけ近い形にリフォームしたい」というお客様の希望をかなえるため、

  • 綺麗に羽毛を洗浄して汚れや小さな羽毛、ホコリを徹底的に取り除く
  • 体にフィットしながら軽やかな着心地を実現することができるように、ダウナに近い性能の側生地を選ぶ
  • 目減りした分、新品羽毛の補充もご提案する

というポイントを押さえた形でリフォームプランをご提案させていただきました。

果たして、出来栄えはいかに!?

リフォームの出来上がり!

リフォームが完成した羽毛布団がこちら。畳んで袋に収納している段階ではコンパクトな見た目ですが、、、

広げるとこんなにふわふわ!羽毛の膨らみをしっかり復元させることができました。

<実施したリフォームプランの内容>

ダブルサイズ➡️ダブルサイズへのリフォーム

  • プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
  • 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%を350g補充
  • 新品生地:綿100%・100番手平織り(1㎡あたりの重さ:85g)
  • キルティング:たて6×よこ6マスキルト
  • 羽毛充てん量:1,240g

出来上がり参考価格:95,000円(税込)

サイズはダブルサイズ。中に入れる羽毛の量はお預かりした時と同じ1,240gに調整しております。

側生地は日本製の綿100%平織りを採用いたしました。100番手という極細糸で仕立てているので平織りながら柔らかい質感を出すことができます。軽さはダウナよりも上、通気性は日本基準のギリギリまで高めることによってダウナのような体へのフィット感を実現できるように組み立てました。

こちらの羽毛布団をお客様のもとへお送りした数日後、ご感想のメールをいただきました。

羽毛布団届きましたのでご報告させて頂きます。 リフォームの仕上がりの良さに驚きました。

三浦さんにお任せして良かったです! ありがとうございます。

任せて良かったという感想をいただくことができて本当に嬉しいです!誠にありがとうございます。

距離が離れている分メールやLINE、お電話などでやりとりを行うことが増えました。お客様の要望をお伺いすることはもちろんですが、情報をきちんとお伝えすることや実際にお預かりした羽毛布団の様子を分かりやすく伝えることも当店では大事にしていることです。

またお困りごとがありましたらいつでもご相談くださいませ。

それでは、また!