同じ羽毛布団でも使い方次第で寿命がこんなに変わる。その原因を徹底チェック!

こんにちは、店長です!

日本全国からお問い合わせ・ご相談をいただいている「羽毛布団リフォーム」

大事に使ってきたけれど汚れやヘタリが気になってきた、生地の破れによる羽毛吹き出しがひどい・・・などのお悩みを綺麗にお直しして、またこれから長く使える羽毛布団へとお手入れすることが出来ます!

今回は東京都にお住まいのお客様からお預かりした羽毛布団をリフォームした事例です。ご家族で大塚家具・ダウナ羽毛布団を使用されているということで、全員分の4枚をまとめてお手入れさせていただきました!

お預かりした羽毛布団

今回お預かりした羽毛布団は大塚家具製のダウナ羽毛布団です。

当店では今までたくさんのダウナをお預かりしてリフォームを手がけてきました。質の良い寝具ですので長年愛着を持ってお使いになっている方がたくさんいらっしゃいます。

何を隠そう、店長も自分で使う用に購入しましたこれだけ多くのダウナをリフォームしているのだから、自分でも実際に使ってみようということで購入したのですが、やっぱり気持ち良いです。

夏に使える肌掛けタイプを使っていて、通気性が高いのでジメジメしないし肌にピタッと吸い付いてくる感覚がお気に入りです。羽毛布団には綿100%の側生地を絶対に使うべき!だと常々思っていますが、安価なポリエステル生地や湿気調整が難しい素材では出せない軽やかな着心地が魅力的です。ダウナをご使用中のお客様たちの気持ちがよく分かります。直してでもまた長く使いたくなる、そんな羽毛布団です。

ラベルに表示されている製造年は2009年。購入してから11年ほど使用されていることになります。このくらいの年数であれば羽毛の損傷もそこまで激しくないのでリフォームは問題なく実行できるはず。

がしかし、使用状況によって布団の状態はコロコロ変わります。実際に目で見て触って、詳しくチェックしていきましょう!

まずは外観から。お預かりした4枚のダウナを並べてみました。こう見ると布団ごとの差がよく分かりますね。同じ家で、同じ期間使用しているのに、こうも状態に差が出てくるというのが面白いところです。

こちらは比較的状態の良いダウナ。奥様がお使いになっていたものです。汚れやヘタリももちろんありますが、布団を触った時の感触・弾力性はまだまだ維持されています。羽毛の膨らみも十分感じ取れますので、リフォームで蘇る可能性がかなり高いと言えるでしょう。

一方こちらは汚れとヘタリがいちばん強く現れているダウナ。旦那様がご使用になっていたものです。真っ白の生地だったのが汗や皮脂によって黄色く変色しています。どうしても男性は女性よりも代謝が高く汗をかきやすいので、布団も汚れがちになります。

首や顔に近い部分は特に汚れがひどくなります。手でグイッと引っ張ったり抱きかかえたりすることも多いので、中身の羽毛にも損傷が出やすくなります。生地の破れが発生しやすいのもこの部分だったりするので、最近羽毛が吹き出しているかも?と感じた場合はぜひチェックしてみてください。

生地も緩んできているので羽毛が吹き出してきています。このまま放っておくと羽毛の吹き出しが増えてしまい、お部屋を汚したりホコリを吸い込んだりしてしまうので早めの対策が必要です。

なぜ女性が使うよりも男性が使う羽毛布団の方がヘタリが早くなるのでしょう?

もちろん体質・寝室の環境の違いなども考慮しなくてはなりませんので一概には言えないのですが、一つの可能性として「男性は羽毛布団を抱き枕のように使いがち」というポイントが羽毛布団の寿命に関係していると店長は睨んでいます。

男性は羽毛布団を抱き枕のように抱えながら眠るのが好きな人が多いです。店長自身も羽毛布団を抱えるようにして寝ていることがあるのですが、なんていうんでしょう安心感と気持ち良さがあるんですよね。落ち着くんです、ほんと。

  • 体格が大きい
  • 代謝が高く汗をかきやすい
  • 一年中同じ羽毛布団を使用している(季節によって布団の種類を変えない)

という項目に当てはまる方は普通に使っていても羽毛の劣化が徐々に進みやすくなるのですが、そこに「羽毛布団を抱き枕のように使う」ということが重なるともっと劣化が早まります。

劣化が早まるとどうなるのか。それは布団の中身を比べてみれば良く分かります。生地を開いて中身の羽毛を取り出してみましょう。

こちらは奥様が使っていたダウナ(状態の良い方)から取り出した羽毛です。

色も白くてふわふわの綿菓子みたい。見るからにボリュームがあって暖かく包み込んでくれそうな羽毛です。

布団内部にもあまり湿気がこもっていなかったので羽毛が一つ一つほぐれている状態でした。暖かさの素であるダウンも羽枝が長く、モチモチと弾力性があります。

元々ダウナに入っている羽毛はポーランド産ホワイトマザーグースダウンという質の良い原料です。ホコリになりやすい小さな羽毛、粗悪で弱々しい羽毛は長く使うとボロボロに崩れてしまうのですが、成熟した密度の濃い羽毛は擦れにも強く、いつまでも大きな形を維持してくれます。

対してこちらは旦那様が使っていたダウナ(劣化の進んでいる方)から取り出した羽毛です。

若干ですが黄色く色が入っているような感じ。見た目にもふわふわ感は少なく、ちょっとベタついている印象です。

トレイに出して広げてみると一目瞭然でした。ふわふわと軽そうな奥様分と比べると別物に見えます。湿気を大分含んでいるのでべちゃっと潰れているような形に変化していました。羽毛同士が絡まり合って小麦粉のダマのように大きな塊になっている部分もあります。

羽毛の変形も見受けられます。たんぽぽの綿毛のようなダウンが薄く引き伸ばされたお煎餅のように平べったくなっていますね。こうなると羽毛としての機能を果たすことが難しくなり、保温性を出すことができなくなります。

動画も撮影してみました。2つの羽毛が筒の中を落ちていく様子を比較しています。湿気を含んでいる方がやはり重く、バラバラと小さなホコリが舞い散る様子が確認できます。

この状態チェックの結果はお客様に正直にすべてお伝えしました。布団によって羽毛の劣化具合に差があること、特に旦那様のダウナはリフォームしても期待通りの回復が見込めないこと。もしリフォームするならば状態の良い3枚を最大限活用していく方が綺麗な仕上がりになること。これからまた長く羽毛布団をお使いいただくための方法についてもご案内させていただきました。

リフォームの出来上がり!

お客様とリフォームプランを話し合い、新しく作り上げる羽毛布団のタイプが決定。お預かりしてから約3週間後、リフォームが完了して綺麗になった羽毛布団が帰ってきました!ご家族皆さま分の4枚、しっかり揃っています!

リフォーム工程としては、

  1. 劣化の激しい1枚は破棄して、状態の良い3枚をリフォームしていく
  2. お預かりした羽毛布団をまず解体し、羽毛をすべて取り出す
  3. プレミアムダウンウォッシュにて羽毛の洗浄
  4. 新品羽毛の補充。新しい羽毛布団を4枚作るので、足りない量を補っていく
  5. 側生地の新調。綿100%でダウナと同じ製法の平織り生地を使用。羽毛の吹き出しを抑える効果もある
  6. すべてシングルサイズにてお仕立て。お預かりした時と同じ4枚に仕上げていく!

という内容です。新品羽毛の補充が想定よりも多くなりましたが、そこら辺は臨機応変に対処できるのでご安心くださいね☆

さて、ベッドに広げながら出来栄えをチェックしてみましょう。見るからにふわふわで柔らかそうな感じ。軽くて体にフィットするダウナの着心地をできる限り再現できるようにリフォームしています。

側生地には綿100%の平織り生地を使用。一般的なサテン織り(なめらかで光沢が出る)よりも質感は少ししっかり目ですが、軽さと通気性の良さを実感することができます。羽毛布団なのに重たい着心地はなんか損した気分になるし、実際使い心地も悪くなりますからね。空気をまとうようなイメージで適度な保温性を実現してくれます。

羽毛自体のボリュームを回復させるために新品羽毛をしっかり補充しています。元々のダウナに入っている羽毛と同じスペックのポーランド産ホワイトマザーグースダウンを使用いたしました。ダウン率は95%でフェザー(羽根の硬い芯)はほとんど混じっていません。

成熟したマザーグースから採取される羽毛はとても大きな粒立ちで弾力性がスゴイ。手で触るだけでも暖かさを感じることができるほどの素材をリフォームでも使用し、布団としての耐久性を復元させています。

サイズ、羽毛量は現状通りのイメージで。シングルサイズに仕上げて今まで通りの使い心地を再現しています。

出来上がった羽毛布団を2枚並べてみました。両方ともキレイな仕上がり!ふっくらと膨らんでくれています。お預かりした当初は布団ごとに状態が異なる状態でしたが、4枚ともに均等に復元することができました!

気持ちよく眠るために。ふんわりとした安心感を感じることができる羽毛布団は、やはり寝具の王様です。新しくなった羽毛布団でぜひこれからもぐっすりおやすみいただければと思います!

K様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございました。

また何かお困りごとがありましたらいつでもご相談くださいね。

それでは、また!