重くて暑くて、もう無理!な羽毛布団をリフォームしたら超快適になった話

こんにちは、店長です!

日に日に気温が下がり、カレンダーを見ればもうすぐ12月。今年もあっという間に年の瀬を迎えるような気持ちです。

さて、当店に寄せられる羽毛布団リフォームのお問い合わせ。

ご相談をいただく中で、今回ご紹介するのはちょっと特殊な事例です。本来であれば寒い夜でもあったかく・気持ちよく眠ることができるのが羽毛布団の醍醐味ですが、その羽毛布団の寝心地がどうにも自分に合わなくて困っているというご相談をいただきました。

羽毛布団が暑すぎる理由は何?

お客様からはいただいたメールでのお問い合わせ内容はこちら。

2年間冬の間のみ使った羽毛布団なのですが、暖かすぎて暑いことがあるので、使える期間がとても短いです。ダウンの量を減らしてリフォームしていただくことは可能でしょうか。

ホワイトマザーグースダウン93% スモールフェザー7% 内容量1.9kgのキングサイズの掛け布団です。布団はシーズンごとに布団専門のクリーニングに出していましたので、きれいな状態だと思います。

使用歴は2年、中身の羽毛も申し分なさそう。気になるのは「暖かすぎて使える期間がとても短い」とお客様が感じていることです。

キングサイズで羽毛量は1.9kg入りということで、国内メーカーの一般的なボリューム感(冬に使うことを想定)ですが、このスペックがどのように影響しているのかを実際にチェックしていきます。

お預かりした羽毛布団を広げてみると結構なボリューム感。ふんわりとした膨らみが強く、いかにも暖かそうな羽毛布団です。

画像出典:西川公式サイト

仕立て方は2層式キルト。布団の表裏で互い違いのキルティングを作り、羽毛の膨らみをアップさせる方法です。一見性能が上がって良さそうな仕立て方ですが、今回の問題点はココ。お客様の感じる「暖かすぎる着心地」の大きな要因になっていると考えられます。

2層式は他の羽毛布団よりも空気の層を大きく作ることが出来るので、暖かさをより大きく感じることができます。この性能はしっかり暖をとりたいという寒冷地域や寒がりの方には重宝するはずです。

しかし、今回のお客様は都内在住。寝室も気密性が高く、冬でもそこまで温度が下がることがありません。この状況下ではせっかくの保温性も度が過ぎてしまい、結果的には使いづらい羽毛布団になってしまったという訳ですね。

品質表示ラベルを見ると「ホワイトマザーグース」の文字が。成熟した親鳥から採取された羽毛が使用されていると明記されています。

子供グースよりも大きくてパワーのある羽毛がたくさん入っているとすれば、さらに保温性がアップします。都内の方が使うには商品性能がマッチしていません。冬山に登る時に使うダウンジャケットで渋谷を歩くようなものです。

もし、僕が同じ原料でキングサイズの羽毛布団を作るとしたら、羽毛量は1.7kgくらいまでに抑えておくかなと。マザーグースダウンの膨らみ方・保温性を考えれば一般的な平均値で考えてもこの程度で十分使えると思います。

仕立て方は2層式ではなく1層タイプ。2層式は生地をたくさん使わなければいけないので、重量が重くなってしまうことが難点です。僕は羽毛布団=軽くてあったかいが何よりも正義だと思っているので、2層式にはどうしても否定的なスタンス。布団のボリュームがたくさん欲しい方や寒がりの方からご相談いただいた時にご紹介するかどうか、いうところですね。

(布団としての保温性を最大限引き出すためには、羽毛の品質や側生地をしっかり選ぶことの方が重要です。)

さて、お預かりした布団から羽毛を取り出して状態をチェックします。

トレイの上で選別してみると、小さくなった羽毛を発見。購入して2年ほどしか使用していないので劣化はそこまでありませんが、ホコリとして外に出てくる可能性もあるのでしっかりと取り除いていきます。

こちらは大きくてふわふわの羽毛。いわゆるダウンと呼ばれるものですね。暖かさの素になる胸毛の部分です。

大きくて形も綺麗、密度も濃いです。表示ラベルに書いてあったマザーグースダウンの文字は本当でしたね!品質の良い羽毛はまだまだ元気で捨てるにはもったいないです。新しい羽毛布団に十分再利用する価値があると判断することができました。

リフォームの出来上がり!

お預かりした羽毛布団の状態チェックが終わり、新しい羽毛布団はどのように作ろうかと考えていると、「シングルサイズとクイーンサイズの2枚にしたい」という要望をお客様からいただきました。

シングルサイズは娘様が使う用、クイーンサイズはご夫婦が使う用。それぞれ適度なボリューム感にコントロールして欲しいということで、まずはシングルサイズのご紹介です!

娘様用ということで保温性の希望を本人に聞いていただいたところ、季節に応じて使いやすい方が良いとのこと。シングルサイズなら1.2kgほど羽毛を入れるのが冬仕様ですが、それよりもボリュームを抑えて1.0kg入りで仕上げました。

中に入っている羽毛はお預かりしたキングサイズの布団から取り出したもの。高温スチームでの洗浄と劣化部分の除去を行った後に新品羽毛もミックスしているので綺麗にリフレッシュされています。

側生地は綿100%。柔らかい質感がお好みということで80番手サテン織り生地でお仕立ていたしました。糸が細いので高密度に織り上げることができ、重量も軽く仕上がりますので、体にかかる負担も少なく軽やかな着心地です。

2枚目はご夫婦用のクイーンサイズ。こちらは今までの暑苦しい着心地から開放されるために羽毛量を少なめに調整。1.3kg入りにして使い勝手の良さを向上させています。

サイズがひとまわり小さくなったことで重量感を少なくできていることもポイントですね。冬はもちろんですが、春や秋の時期にも使って欲しくなる羽毛布団が出来上がりました!

 

完成した羽毛布団をお届けしてから数日後。お客様からこんなメールをいただきました。

この度は布団を素敵にリフォームしていただき、ありがとうございました。
せっかく買ったお布団が暑くて、どうしようか困ってしまい、色々布団リフォーム業者に問い合わせもしたのですが、その布団がどうして暑いのか、どのようにリフォームするのが私たちの要望に合うのか、親身になって色々と相談にのってくださったのは三浦さんだけでした。とても感謝しています。

インターネットで検索して、三浦綿業さんのホームページにたどり着けて本当に幸運でした。

ここ1週間東京は暑いほどの日々が続いているので、実際にお布団が使えてないのですが、箱から取り出したお布団はふんわり柔らかく、ベッドにのせた感じも分厚すぎず、とてもいい感じです。
来週からは少しずつ寒くなるようですので、使うのが楽しみです。

また使い心地を報告させていただきます。

リフォームの出来上がりに満足いただけているようでとても嬉しいです!本当にありがとうございます!

じっくりとお試しいただきながら、寝心地を感想をぜひお聞かせいただければと思います☆

I様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございました。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。

それでは、また!