買い替えようか迷っている大塚家具ダウナ羽毛布団。購入よりもリフォームの方がおトク?

こんにちは、店長です!

羽毛布団のリフォームを検討するとき「直すよりも買い替えた方が良いのかしら?」と思うこと、ありますよね。

購入してから20年以上も経過している、中に入っている羽毛が減ってしまっているかもしれない、リフォームした方が逆に価格が高くなるのでは?という考えることは誰しもあるはず。でも、長年使用してきたからこそ愛着があり、着心地も気に入っているこのお布団を簡単に手放すことはできない、そんなことを口にされるお客様がとても多くいらっしゃいます。

大切な寝具をもっと使い続けていきたい、そんな言葉を聞けるだけで寝具専門店としては大変ありがたくて嬉しい気持ちになるのです。

今回は滋賀県にお住まいのお客様からご相談いただいた羽毛布団リフォームの事例をご紹介いたします。

実際にダウナをお預かりして、状態をチェックしてみる。

お問い合わせフォームからいただいたご相談内容は、

初めまして。

2004年に購入しました大塚家具の羽毛布団ダウナクリエーションを使用しておりますが、経年による生地の汚れや、羽毛が少し出てくるようになってきたことから、買い替えを検討しております。

ただ、使用感は大変気に入っており、ほかの羽毛布団を購入しようとお店へ見に行っても決めきれずにおります。また捨てることにも抵抗が全くないとも言えなくて、リフォームも検討しております。

貴店がダウナのリフォームを多く取り扱っていらっしゃるようですが、20年超のものでもリフォームに耐えうるでしょうか?手入れもほとんどしていないような状況ですが・・・。

シングルが2枚所有しております。ご相談させていただければ幸いです。

とのこと。当店では大塚家具が販売するダウナ羽毛布団のリフォームを数多く手掛けておりますので、その経験に基づく知識とノウハウをまずはメールにてご返信させていただき、お客様にリフォーム工程の詳細をご案内いたしました。

2004年に購入されているということは、今年で使用歴21年目を迎えるということになります。羽毛布団は耐久消費財ですので10年、15年と当たり前のように長く愛用することができるのですが、生地の汚れや羽毛の吹き出しなどだんだんと劣化し始めている様子をお客様は感じているそうです。

とはいえ、ダウナは羽毛布団業界のなかでもランクが高い商品です。羽毛原料、生地の仕様、ドイツ製ということもあり、2025年12月現在のシングルサイズ新品購入価格は208,000円(税込)となっています。2枚同時に買い替え、新品購入だ!と即決するには少し勇気が必要かもしれません。

ここ最近の物価高は寝具業界にももれなく波及しており、海外から輸入した素材を使用することが多い羽毛布団は年々と価格が上がっています。

羽毛は天然素材であり資源です。お客様は「20年を超えたものでもリフォームできる?」と心配されていましたが、2000年代前半に製造されたダウナは総じて品質が高く、羽毛自体の大きさ・パワーが現在流通するものよりも良い場合があるのです。もし、そのような羽毛が残っているのであれば新品購入よりも質の高い羽毛布団をつくることができるので、逆にお得になるかもしれません!

羽毛布団一枚あたり1,050gの羽毛が入っているのもこの時代に製造されたダウナだからこそ。現在販売されているダウナは羽毛量が960g入りですので、ちょっと量が少なくなっているのです。

暑がりさんには少なめの量がちょうどよいと思うのですが、布団一枚で冬を過ごすというのであれば1,000g以上の羽毛量が最適なのではと思います。

お預かりしたダウナを机に広げてみました。膨らみやボリューム感はしっかり見て取れるので比較的状態は良さそう。お客様が大切にこの羽毛布団を使用されていた様子が目に浮かびます。

小さな羽毛やホコリが少しずつ吹き出しているのですが、生地が破れたり穴が開いているというわけではありません。少しずつ生地が緩んできている、羽毛も経年劣化によってファイバー化していることが予想されます。

細部を見ていくと汚れやシミが付着しているところが。黄色いシミは汗や皮脂による汚れです。おもに顔や首あたりにあったところがこのように変色していきます。

シミがどんどん積み重なっていくと生地が弱くなって破れやすくなるため注意が必要です。

生地を開きながら中に入っている羽毛を取り出します。

ふわふわと白い羽毛がたくさん。湿っていることもなく軽い感覚があることを確認しつつ。取り出した羽毛を手作業で選別していきます。

すると、小さなホコリのようなものから羽毛のちぎれたものまで、経年劣化のあとを発見いたしました。

このような状態の羽毛が多くなってくると目に見えてボリューム感が少なくなったり、保温性が低く感じてきたり、生地からの吹き出しが多くなっていきます。

リフォームとしては「羽毛を綺麗に洗浄して汚れや劣化したホコリ、ゴミをできる限り取り除く」という工程がとても重要えす。このような小さなホコリは徹底的に選別しながら除去いたします。

一方で、新品当時の品質を保っている羽毛もたくさん発見することができました。

たんぽぽの綿毛のように丸くて、立体的な姿を維持している。これが羽毛のなかでもダウンと呼ばれる部位です。水鳥の胸毛部分に相当します。

20年以上経過しても、こうして姿を保っているということを考えると改めて「羽毛ってすごいな」と感じますね。絶対に捨ててしまってはいけません。大事に大切に、これからも使い続けることができるようにリフォームしたいと思います。

お預かりした羽毛布団の様子をお客様にご説明し、リフォームを行うことができること・その価値があることをご案内させていただきました。

3週間後、リフォームが完成!

<リフォーム実施内容>

  • お預かりした2枚の羽毛布団を解体して中身を取り出す
  • 取り出した羽毛を綺麗に洗浄し、劣化したホコリや羽毛を取り除く
  • 大きくて綺麗な形の羽毛を乾燥させながら、ふわふわの状態にしていく
  • 側生地はすべて新調。ドイツ製・綿100%110番手平織り生地を採用
  • 新品羽毛を補充。ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%/フェザー5%を合計500g
  • シングルサイズ(150×210cm)に仕立てる
  • 羽毛量1,050g入りを2枚作成

出来上がりの参考価格:179,000円(税込)

一枚あたり89,500円でリフォームを行うことができました。金額だけみると、新品購入するよりも半額以下でお手入れすることができました!

※写真撮影時が夕方だったので羽毛布団全体がオレンジ色に映っていますが、実際にはホワイト無地での仕上がりです。

ふんわりと羽毛が膨らむ様子が見えます。あったかさと体を包み込む柔らかさは格別。空気をたくさん含んでいるので軽やかな着心地も実現することができました。

羽毛量はお預かりしたときと変わらず1,050g入りにコントロールしています。ダウナの着心地を気に入っていたからこそ、羽毛量を変えてしまっては意味がありません。

劣化した羽毛を取り除いた分だけ新品羽毛を補充することで、ダウナの良さをそのまま活かしたリフォームとなります。

ダウナをリフォームするうえで気をつけないといけないのは「側生地の種類」です。サテン織りや太い綿糸の生地を使用すると重量が重くなってしまうばかりか体にぴったりフィットする感覚が損なわれてしまいます。

今回はダウナ同等の軽さ、通気性の高さを維持するためドイツ製の生地を採用いたしました。製法もダウナと同じ平織りです。平織りといえば質感が硬い・パリパリするような印象があるのですが、110番手という極細糸を使用しているのでしっとりとした質感を実現することができます。

リフォームが完成した羽毛布団をお客様にお届けしてから数日後、

お世話になっております。

昨夜、無事にお布団が届きまして、早速、昨晩から使わせていただきました。軽くて暖かいところは変わらず、生地もきれいになり、お願いしてよかったと思っております。

布団カバーも軽く、使用感もよかったです。

丁寧に使わせていただきます。

この度はお世話になり、ありがとうございました。

というメッセージをいただきました✨

「軽くて暖かいところは変わらず」というコメントをいただけたこと、本当に良かったなぁと感じています。ダウナのことが好きだからこそ、今回のリフォームでその良さを消すことなく活かしながら、お悩みだった汚れやホコリ問題を解決することができて良かったです!

ぜひこれからの冬本番、寒くなる時期にも快適にお使いいただくことができれば嬉しいです!

I様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございました。またこれからもメンテナンスやお手入れ方法を随時ご案内させていただきますので、お気軽にお声掛けくださいませ✨