こんにちは、店長です!
4月に入りぽかぽか陽気が続く中、羽毛布団のお手入れに関するご相談も少しずつ増えてきました。
今回は東京都にお住まいのお客様からお預かりした大塚家具ダウナ羽毛布団のリフォーム事例をご紹介いたします!
LINEにてリフォームのお問い合わせをいただいた内容がこちら↓
10年選手の大塚家具ダウナですが、今年は夏も冷房付けながら使用しておりました。
現在、羽毛の偏りが進んで暖かさがだいぶ落ちてきています。クリーニングに出すべきか、リフォームすべきか、御社で新しいお布団を作っていただくか悩んでいます。どう考えるべきかご指南頂けると幸いなのですが。
ダウナの一般的な考え方でも。。。
よろしくお願いします。
お預かりした羽毛布団がこちら。
購入から10年ほど経過しているダウナということですが、羽毛布団は耐久性が高く長くご愛用いただくことが多いアイテムですので、捨ててしまうには非常にもったいないと感じるというのが私の見解です。
お客様も丁寧に使用されていましたので、生地に汚れやシミが付着することなく綺麗な状態だと感じました。
いくつかのパターンに分かれるダウナのうち、こちらはレギュラーと呼ばれるタイプです。
2024年現在では「レギュラー」は羽毛量が一番多く入っているため冬用というイメージで捉えられているのですが、今回お預かりしたダウナは2013年製造。この当時にはレギュラーの上にプレミアムというタイプがありシングルサイズで1,05kg入りで冬用の保温性をしっかり実現できるものとして販売されていました。
ラベルを見ると、800gの羽毛が入っていると記載されていますので、いわゆる合い掛けという形の羽毛布団になります。真冬専用ではなく春や秋などの季節にも使える、シーズン通してお使いいただけるg数だといえますね。
お客様は空調を効かせて夏にも使用されていたということだったので、プレミアムではなくこちらのレギュラーというタイプが用途として最適だったと思います。
ご相談にもあった羽毛の片寄り具合をチェックしていきます。
布団を広げると真ん中あたりに凹みがあることがわかります。羽毛の片寄りは普段よく使うことから発生するので、布団の真ん中・襟元・足元の3箇所がトラブルの主なところです。
使用するごとにだんだんと羽毛がマス目を通り越して移動する、こうなると端っこの方に羽毛がたまってしまうためバランスが悪くなり、体を空気で包み込むことで実現する断熱効果が失われてしまいます。
ダウナはもともと、キルティングが大きくてマチも高いため、布団のなかで羽毛が移動しやすいという欠点があります。リフォームするのであればこのデメリットはしっかり解決していかなければいけないと感じました。
生地をくまなくチェックしていくと、羽毛が突き抜けている箇所をいくつか発見しました。
まだ大きな穴や破れにはつながっていないので羽毛・ホコリの吹き出しが発生していることはないのですが、このまま放っておくと悩みの種になりそうです。
新調する生地の耐久性・通気性をコントロールすれば羽毛の吹き出しを抑えることが可能です。しかし、通気性を抑えすぎてしまうと生地が重くなり、空気を着ているかのような気持ちよさが失われてしまうため、お客様にとっての優先順位が何なのかをしっかり把握する必要があります。
毎日使用するうえでの満足感、そしてストレスのない快適な着心地を実現するため、おひとりずつのご希望に合わせてご提案させていただきます。
生地を開いて羽毛を取り出します。
採取したサンプルを手作業で選別し、羽毛の状態を診断していきます。
細かいホコリや塵のようなものが見えるのですが、こちらは経年劣化によって壊れてしまった羽毛の残骸やもともと羽毛に付着していた草やゴミです。
羽毛も使用するごとに摩擦で擦れて小さくなっていくのですが、この症状が進んでしまうと空気を含みながら大きく膨らみパワーが失われるため、保温性の低下を感じることがあります。お客様が仰っていた「暖かさがだいぶ落ちてきている」という現象の原因はココです。
小さなホコリが増えることで吹き出しのデメリットも上がってしまうため、布団から取り出した羽毛は一度綺麗に洗浄しながら汚れとホコリを丁寧に取り除くことにしました。
一方こちらは大きくて綺麗な形を維持している羽毛です。劣化したものとはまったく形が違い、たんぽぽの綿毛のようにふわふわとしていて、丸みをおびています。
このような良質な羽毛は立体的に見えることも特徴のひとつです。粒立ちがはっきりしているため空気を含む余力があり、布団の中に入れたときにもしっかりと膨らんでくれます。
やはりダウナの羽毛は良質ですね、捨ててしまうには非常にもったいないです。成熟したマザーグースダウンならではの品質をしっかり活かしながらリフォームすることができるとお客様にご説明差し上げました!
リフォームの完成!
<リフォーム結果>
- ダブルサイズ➡︎セミダブルサイズへのリフォーム
- プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
- 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトグースダウン93%を350g補充
- 新品生地:綿100%・ドイツ製平織り(1㎡あたりの重さ:75g)
- キルティング:たて5マス・よこ6マス/羽毛の片寄り防止キルト
- 羽毛充てん量:850g入り
出来上がり参考価格:99,000円(税込)
リフォームにてお仕立てした羽毛布団はふわふわの状態を綺麗に取り戻すことができました!
片寄りが気になっていたところも均等にならしながら縫製し、ダウナよりもマス目を多く取り入れているため羽毛の移動を少なくする対策を講じています。
羽毛量はお預かりしたときよりも50g多めの850g入りに。へたりやすい襟元、足元、真ん中あたりに増量するような形をとり、物足りないと感じていた保温性をアップさせるプランニングです。
これ以上羽毛を増やしてしまうと逆に暑すぎて使いにくくなるため、50gという微妙なラインに収めました。
側生地はドイツ製の綿100%。ダウナと同じように通気性を高く設定したタイプなので空気の循環がスムーズに行われ、ぴったりと体にフィットする感覚を味わうことができます。
それでいて、糸の本数を多く織り込んでいるため引っ張りに強く、ダウナに比べると安心して長くお使いいただける品質があります。
リフォームにて新しくなった羽毛布団。これからも季節を通してご愛用いただくことができればとても嬉しいなと思います!
T様、この度はご遠方よりご相談いただきまして誠にありがとうございました。気になることや羽毛布団のアフターメンテナンスなど、ぜひお気軽にお声掛けくださいませ。
今後とも何卒よろしくお願いいたします!