生地が破れてボロボロになってしまった西川羽毛布団をリフォームすることはできる?

こんにちは、店長です!

今回は山口県にお住まいのお客様から羽毛布団をお預かりしてリフォームした事例をご紹介いたします。

年数が古いけれどリフォームできるかどうか判断してほしいというご連絡のもと羽毛布団をお預かりしたのですが、お客様からいただいたメールにはこのようなことが書かれていました。

羽毛布団を購入してから24年になると思います。製造メーカーはたしか西川だったように記憶しています。

リフォームできるとすればどのくらいかかるのかお見積もりをお願いします。

また、お預けしてから、秋まで保管サービスなどはありますか?

実際にお預かりした羽毛布団を広げてみました。現状のサイズはダブルサイズです。もしリフォームするならセミダブルもしくはシングルに変更したいというご希望もいただいています。

製造メーカーは西川だということで「ホワイトグース羽毛使用」という印字がみえました。グースとはガチョウのことで水辺に生息する鳥のことです。

店長は昨年夏にポーランドに行って羽毛の生産地を視察してきたのですが、その際にもグースが住む牧場を3カ所ほど訪問してきました。

見渡す限り自然だけの広大な敷地に放し飼いされているグースはみんな仲良し。ストレスのたまらない自然に近い場所ですくすく育つグースはどんどん大きくなっていくので、体にたくさんのふわふわ羽毛を備えることができます。この羽毛のおかげでポーランド特有の厳しい寒さにも耐えることができるというわけですね。

羽毛布団にはダック(あひる)やグース(ガチョウ)の羽毛を使用するのですが、グースのほうが体長が大きいので採取される羽毛もパワーが強く大きなものになりやすい傾向があります。

また、グースはとうもろこしや雑穀を食べる草食動物なので体に余計な脂肪分が付きにくいです。なんでも食べる雑食のダックに比べると獣臭さがグンと減ってくれるので、布団に加工した際にごく稀に発生する臭いの問題にもしっかり対応することができます。

さて、今回の羽毛布団に戻ります。残念ながら品質表示ラベルの印字は消えていて確認することができませんでした。

ここには羽毛布団のサイズや重さ、どの程度の品質の羽毛が使用されているか等の情報が記載されているのですが、長年使用された羽毛布団のラベルは印字が消えてしまっていることはしばしば起こります。

ただ、布団を直に触る、中身を直接チェックしたり実寸を測定することで状態を見極めることはもちろん可能です。

もっとも、西川製の羽毛布団であればシリーズによって作り方がほぼ固定されていますので、年代を絞ることによって判別することができます。中には当店で昔販売していた西川製の羽毛布団とまったく同じ種類のものをお預かりすることもありますので、ラベルの印字が消えていてもまったく問題ございません。

側生地をチェックするとお客様がご自身で補修された形跡がところどころに見受けられました。使用するうちにだんだんと生地に穴が開いてしまい、そこから羽毛が吹き出すようになったのだそうです。

シミや汚れが付着してしまったところはどうしても生地の耐久性が弱くなり、少しの力がかかるだけでもビリっと破れてしまうことがあります。生地を縫い合わせてもなかなか収まることがなく、カバーを交換するときにもホコリが飛び散ってしまうので対応に苦慮されていたそうです。

羽毛の吹き出しは一度気になってしまうとかなりのストレスになってしまうため早急に対応しなければいけないと感じました。

では羽毛の状態はどうでしょうか?生地を開いて中に入っている羽毛を少し取り出してみます。

取り出した羽毛がこちら。この量で2グラム〜3グラムほどになります。

手作業で選別してみると、小さなホコリのようなものを発見いたしました。これは経年劣化によるダメージを受けた羽毛が粉々に崩れてしまっている部分です。ダウンやフェザー、ファイバーと呼ばれる小さな糸のようなものもあります。

このような小さなホコリが増えてしまうと保温性の低下・布団としてのボリュームが下がる・生地からの吹き出しが多くなるということにつながってくるため注意が必要です。

リフォームには「羽毛を綺麗に洗浄する」という工程があるのですが、汚れをすっきり除去するとともに小さなホコリも丁寧に取り除いていきます。

一方こちらは大きくて綺麗な形を維持している良質な羽毛です。

ダウンと呼ばれるたんぽぽの綿毛のような羽毛。このまんまるとした形の羽毛が空気を含みながら膨らむことによりボリューム感が生まれ、空気による断熱効果によって体温をしっかり保温してくれる、いわゆる「羽毛布団特有の暖かさ」が実現されていきます。

形もそうですが、かなり大きくて良質な羽毛がたくさん残っていることが分かりました。リフォームする価値があると判断することができます!

この結果をお客様にご説明させていただき、セミダブルにするかシングルにするか、両方のお見積もりをご案内いたしました。

リフォームが完成!

<リフォーム結果>

  • ダブルサイズ➡︎シングルサイズへのリフォーム
  • プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
  • 新品羽毛の補充:ホワイトマザーグースダウン95%を200g補充
  • 新品生地:綿100%・80番手サテン織り(1㎡あたりの重さ:114g)
  • キルティング:たて6×よこ5マスキルト マチの高さ6cm
  • 羽毛充てん量:1.3kg

出来上がり参考価格:73,000円(税込)

完成した羽毛布団がこちら。シングルサイズとして生まれ変わりました!

「羽毛布団一枚で冬の寒い時期でも過ごせるようにしたい」というお客様のご希望をかなえるため、ふっくらとした膨らみを実現することができるようにボリューム感を調整しています。

綺麗に洗浄しながらホコリを取り除いたあと、ポーランド産ホワイトマザーグースダウンの新品原料を200g補充いたしました。お預かりした羽毛布団の品質に見合った新品原料を使用することで、これからも長くご愛用いただくことができる耐久性もプラスしています。

S様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございます!

新しくなった羽毛布団でぜひ気持ちよくおやすみいただくことができれば嬉しいなと思います。

また気になることやメンテナンス、アフターフォローについてもお気軽にご相談くださいませ☆

今後とも何卒よろしくお願いいたします!