25年間使った西川の羽毛布団はリフォームでどこまで綺麗に直るのかやってみた!

こんにちは、店長です!

梅雨明けとともに気温が上がり、かなりの暑さを感じる今日この頃。

8月は10年に一度クラスの猛暑がやってくる見込みだということで、皆さま体調にはくれぐれもお気をつけください。熱中症対策、必須です!!

さて、気温が高くなるとともに日本全国からご相談いただく件数がピークを迎える「羽毛布団リフォーム」。今回は東京都のお客様からLINEでご相談を頂戴いたしました。

実際にいただいたLINEのメッセージでは、

はじめまして。

25年近く使っている羽毛布団のことでお問い合わせいたします。

冬用にあたたかく使ってきましたが、さすがに最近以前に比べてふわっと感がなくなってきた気がしていたところ、サイトで御社のページをみつけました。西川製のシングルサイズ2枚です。

よろしくお願い申し上げます。

という内容。使用年数が経過してボリューム感が以前と比べて少なくなっていることが気になるとのことです。

羽毛布団の耐久性ってどのくらい?

こちらがお客様からお預かりした羽毛布団です。2枚ともにシングルサイズ、外見はかなり綺麗な状態が維持されているように見受けられます。

羽毛布団の耐久性はかなり長く、10年以上・20年以上の使用期間は当たり前です。生地が破れたりしない限りは通常どおり使うことができるので、物持ちの良いお客様のなかには30年以上使っているという方もいらっしゃいます。

羽毛布団には製造メーカーごとの特色があったり羽毛の品質にも数多くの種類があるため、耐久性はどのくらい?と定義することがなかなか難しいことは事実です。

ダックダウンよりもグースダウンを使用した方が羽毛が大きく潰れにくいので長持ちしたり、側生地には擦れに弱いシルクを使用するよりも綿100%の方が耐久性があがる、など色々な条件があります。

目安としてお伝えするのはやはり10年〜15年くらいが現実的でしょうか。それでも購入後に丸洗いやリフォーム・打ち直しを行うことで寿命をグッと伸ばすことができるので、買い替えするよりも「お手入れしながらより良い状態を維持する」ということが羽毛布団に求められる性能だと感じます。

羽毛も天然素材ですので数に限りがある貴重な資源です。羽毛布団に包み込まれるとなんともいえない気持ちよさをこれからも持続させるため、リフォームという手段は欠かせないお手入れ方法だと思います。

さて、今回の事例に戻ります。

お預かりした羽毛布団を広げてみるとわずかにシミや汚れが見えるものの、状態としてはとても綺麗です。お客様が日頃からカバーを付け替えたり、定期的に干すことによって湿気を逃していたりと、こまめにお手入れされていた結果だと感じます。大切に羽毛布団を使っていただき、こちらが嬉しくなるほどです。

製造メーカーは西川(旧・東京西川)。タグには「シベリア産ホワイトグースダウン」使用という印字がありました。

こちらのタグには品質の詳細が記載されています。

側生地は綿100%、手触りの感覚では80番手クラスのサテン織りです。羽毛はダウン93%、フェザー7%ということで品質的には西川のなかでも上位ランクに位置するものではないかと推測します。

マザーグースかどうかはこの時点で見極めることができないので、羽毛の状態を直接チェックするときに見てみようと思います。

お客様が気にされていたのは羽毛布団のボリューム低下。確かに少しぺちゃっと凹んでいるかなという印象はありますが、経年劣化によってもっとヘタってしまう羽毛布団もありますので、それと比較すれば25年経過してもこれだけ弾力があるのは優秀だなと感じます。

新品当時はもっと羽毛がふわ〜っと膨らんでいたんだろうなぁ。

中に入っている羽毛の状態をチェックするため、生地を少しずつ開いてみました。

取り出した羽毛がこちら。

ホワイトグースダウンの表示に間違いない、白くてふわふわの羽毛がたくさん入っています。

状態をチェックするため、手作業で選別していきます。

小さなホコリに見えるのが経年劣化によって壊れてしまった羽毛の残骸です。

羽毛がこすれあうことによって磨耗し、ホコリのようなファイバーが発生することがあります。使用年数が長くなるとどうしてもこのようなホコリが多くなってしまうため、羽毛のパワーが弱くなる=布団としてのボリューム感が少なくなるという現象が起こります。

生地からの吹き出しも発生しやすくなるため、リフォーム工程のなかでこのようなホコリは丁寧に取り除いていきます。

一方こちらは大きくて綺麗な形で維持している羽毛です。たんぽぽの綿毛のようなふんわりとした羽毛(ダウン)がたくさん残っていることを確認いたしました。

形、大きさを目視でチェックした結果としては、こちらはマザーグースダウンではなくレギュラーグースダウンだと思われます。

生育年数によってグースの体長もどんどん成長するのですが、 3年〜4年ほど生育するグースから採取した羽毛がマザーグースダウンと呼ばれ、羽毛の大きさに加え弾力性が強く、少しの量でもふんわりと膨らみながら保温性を実現する性能があります。

25年経過してもこれだけ綺麗な羽毛がきちんと残っていることにまず驚き。まだまだ捨ててしまうのは非常にもったいないと判断し、お客様にリフォームプランのご案内をさせていただきました!

リフォームの完成!

<リフォーム実施内容>

シングルサイズ2枚→シングルサイズ2枚へのリフォーム

  • プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
  • 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトグースダウン93%/フェザー7%を合計400g
  • 新品生地:綿100%・80番手サテン織り(1㎡あたりの重さ:114g)
  • シングルサイズ(150×210cm)にお仕立て
  • 羽毛量:1枚あたり1,300g入り
  • たて6マス、よこ5マスキルト(マチの高さ7cm)

2枚の出来上がり合計参考価格:146,000円(消費税・往復送料込み)

リフォームの出来栄えとしてはとても綺麗にふっくらと仕上がってくれました。お客様が一番気になっていたボリューム感の改善はしっかりできたと思います!

羽毛を綺麗に洗浄して汚れを落とすことで状態を回復させることができます。そこに新品羽毛も追加しながら目減りした量とパワーを復元させているので、手で触ると跳ね返してくるような弾力性を感じることができるようになりました。

中に入っている羽毛量はお預かり時と変わらず1,300g入り。冬でもこれ一枚で眠れるように、体全体で保温性を感じていただけるはずです。

リフォームが完成した羽毛布団をお客様にお届けしてから数日後、仕上がり具合の感想をLINEでいただきました。

三浦様

週末忙しくしており、お返事大変遅くなりまして申し訳ありません!

お布団ですが無事金曜に受け取りました!早速あけてみたところ、ふんわり軽くふっくらして見違えるようです。

家族も喜んでおりました。
本当にありがとうございます!!キルト割りも良くなりました。

ふんわりとしたボリューム感、軽やかな着心地を感じていただけて本当に嬉しく思います。ご家族にも喜んでいただくことができて私も感激です!

ぜひこれからも長く、そして快適に羽毛布団をお使いいただくことができれば嬉しいなと思います。

N様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございます。

また羽毛布団のお手入れなどありましたらお気軽にお申し付けくださいませ☆

今後とも何卒よろしくお願いいたします!