こんにちは、店長です!
生地が破れて羽毛が吹き出す、布団としてのボリューム感が減った、布団2枚を1枚にしたいor大きいサイズから小さいサイズに直したい。皆さまからいろいろなご希望・ご相談をいただくのが羽毛布団のお手入れ・リフォームです。
今まで大切に使っていた羽毛布団をこれからも快適にお使いいただけるように、丁寧に洗浄したり生地を新調しながら綺麗にリフレッシュいたします。お問い合わせが多くなっておりますが一件ずつご返信いたしますので、お電話・メール・LINEでお気軽にお声掛けくださいませ。
今回は松山市にお住まいのお客様から大塚家具ダウナ羽毛布団をお預かりした事例をお伝えいたします!
当店のホームページを見つけて「ダウナはリフォームできるんだ」と前々からご存知だったというお客様。冬も終わり羽毛布団を片付ける時期になったタイミングでお電話いただき、リフォームできるかどうかを一度チェックして欲しいというご相談をいただきました。
お預かりしたダウナはダブルサイズ。品質表示ラベルの印字はまったく見えなくなっていたのですが「Dauna Creation」という表示があるので、15年以上前に製造されたダウナであると推測できます。
ダウナに付けられるラベルの表記は製造年ごとに少しずつ違っていて2010年ごろからは「Dauna」と大きく印字されたタグが付けられるのですが、今回のように「Dauna Creation」という印字のタグが付けられたダウナは製造されてから長期間経過していると考えて間違いないです。
このころは「ダウナ・プレミアム」というシリーズが販売されていたのでダブルサイズで1,240gの羽毛が入っているということまでは推測できます。たまに1,300g以上入っていたりすることもあるのですが、それは別注だったり大塚家具で後から増量されたダウナだったりするので、イレギュラーなものにもごく稀に出会うことがあります。
ダウナと一口に言っても色々なタイプがあって、それぞれ表情が違うので、毎回お客様からお預かりするたびに楽しみになります。
外見としては汚れやシミ具合はそこそこですが、小さな羽毛やホコリが吹き出してくるのが気になるかなと。穴や破れが発生しているわけではないので見過ごしがちですがカバーを取り替えたりする際にストレスが感じていたとお客様はおっしゃいます。
ダウナはもともと通気性の高い側生地が使用されているので羽毛の吹き出しが起こるリスクはあります。それでも、通気性が高いことによって空気の循環がスムーズに行われること、一般的な羽毛布団よりも圧倒的に軽くて体温が伝わるのが早くて体にぴったりフィットするという着心地の良さは何物にも変えがたい、という長所はとてつもなく魅力的です。
この着心地の良さと羽毛やホコリへのリスクを天秤にかけ、どちらを優先させるかによって羽毛布団に求める性能はまったく変わっていきます。
今回のお客様からは「ダブルサイズからシングルサイズにしたい、あとはホコリ対策も重視したい」というご希望をいただきましたので、羽毛の状態をしっかりチェックしてホコリがどこまで増えているのかを把握する必要がありました。
羽毛は目視で、手作業で選別しながら状態を見極めるのが当店のルールです。
選別してみると経年劣化によって小さく崩れている羽毛、ホコリを発見いたしました。
ダウナの中身はポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%/フェザー5%という成熟した大人の羽毛かつフェザーが少ない良質な羽毛なので、長年使用してもつぶれにくくホコリになりにくい傾向にあります。
逆に未熟な羽毛、もともと新品のころからホコリが多く混じっていた、フェザーの比率が高いという条件の羽毛原料だと長年使用によってホコリや小さな羽毛が出てきやすい可能性があります。
今回のケースではホコリの量は平均くらいかなというレベルではあります。ただし男性がメインで使用されていたため、湿気のこもり・汗や皮脂の癒着に注視する必要があります。
やはりありました、羽毛の塊。こちらは汗や皮脂の付着によって羽毛が絡まって大きな塊になってしまっている部分です。
一見すると大きなダウンに見えるので良さそうに思いますが、比重が大きくて宙にふわふわと舞うような浮遊感がない=空気を含みながら膨らむことができないので保温性が低下している羽毛だという判断をします。
このような塊は洗浄しながらほぐすことで元のダウンに戻ることがありますので捨てることはしません。リフレッシュしながら再利用できる道を探していきます。
そしてこちらは正真正銘、大きくて綺麗なマザーグースダウンです。
ひとつずつの粒立ちがはっきりしていて立体的。なおかつパーマのようなうねりがある。これが良質な羽毛であることの特徴です。
このような良質な羽毛は年々減ってきているように思います。環境の変化なのか、加工の仕方なのか。
昨今の世界情勢をみると、穀物不足や鳥インフルエンザの影響によってグースを育てる農場がどんどん少なくなっているという背景がありますので、今後も良質な羽毛が少なくなってしまうことは事実だと思います。
だからこそ、今ある羽毛布団を大切にして、再利用できるところを最大限活かして、今よりもっと愛着を抱くことができるような寝具を仕立てたい、そんな思いが強くなってきます。
リフォームの出来上がり!
<リフォーム実施内容>
ダブルサイズ1枚→シングルサイズ2枚へのリフォーム
- プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
- 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%/フェザー5%を450g
- 新品生地:綿100%・80番手平織り(1㎡あたりの重さ:94g)
- シングルサイズ(150×210cm)にお仕立て
- 羽毛量:1枚あたり700g入り
- たて6マス、よこ5マスキルト(マチの高さ6cm)
2枚の出来上がり合計参考価格:130,000円(消費税・往復送料込み)
ダブルサイズからシングルサイズを2枚作製することができました。
羽毛量は1枚あたり700g入り。冬専用ではなく一年を通して使えるような、比較的薄めの仕上がりを実現いたしました。
気密性の高いマンションにお住まいの方や「一年中羽毛布団に包まっていたい」という羽毛布団ファンの方にもおすすめするボリューム感です。
側生地はダウナと同じ綿100%平織り。ですが通気性を抑えながら羽毛・ホコリが吹き出しにくいように加工を行っているので、長く使用しても安心してお使いいただくことができるようにお仕立ていたしました。
最初の質感はダウナよりも硬めですが、使うごとに生地が馴染んで柔らかくなってくれます。
シングルサイズ2枚へと形を変えたダウナ羽毛布団。
これからもお客様に快適な睡眠時間をお届けできれば嬉しいなと思います。
M様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございました!