こんにちは、店長です!
梅雨が終わったと思いきや雨の日が続く毎日。
ただでさえ湿気を感じる季節に加え、寝ている間にかいた汗や湿気が布団にたまってしまうとかなりの不快感で寝るのも嫌になってきますよね。。。
ジメジメと寝苦しい夏の夜を快適に過ごすためには、寝具の通気性・湿気調整の性能に注目することがとても重要です。また、お住まいの環境に合わせて寝具を選ぶということも大事なポイントです。
今回は「今使っている羽毛布団を気密性の高いマンションに最適なものへとリフォームしたい」というお客様からご依頼いただいた事例をご紹介いたします!
お預かりしたのは大塚家具ダウナ。
<お預かりした羽毛布団>
- 製造メーカー:大塚家具
- ブランド:ダウナプレミアム
- サイズ:ダブルサイズ
- 羽毛の種類:ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%/フェザー5%(手摘み)
- 羽毛量:1,240g入り
- 購入時期:2003年10月
リフォーム検討としてお預かりしたのは大塚家具のダウナ羽毛布団。サイズはクイーンサイズ (海外仕様の185×210cm)です。
羽毛量は1,240g入り。側生地は綿100%極細糸で仕立てられた平織りというものが使用されています。通気性が高く、重量もかなり軽い生地のおかげで湿気をうまく逃がしながらコントロールすることができるのもダウナの良いところですね。
※通気性が高いため羽毛の吹き出しが発生することがあります。ホコリアレルギーやハウスダストが気になる方がダウナを使用される際には注意が必要です。
お客様はダウナの説明書も大事に保管されていて、購入時期などの情報をきちんと把握することができました。19年前の説明書や保証書ですので今ではかなり貴重なものではないでしょうか。
2003年購入のものですが、気密性の高いマンション居住のため使用は冬のみで、春から秋までは購入時付属の羽毛布団袋に保管していました。
側生地のほつれもなく見た目の状態はそれほど悪くないと思います。袋から取り出して5分後ぐらいに2つ折り状態の高さを測ったら25cmほどでした。このダブルを2つのシングルにリフォームしたいのですが、可能でしょうか?
東京で気密性の高いマンション居住であり、これまでダウナで寝ていると真冬でも汗だくになってしまっていたので、リフォーム後は厚みをちょっとだけ薄くしたいと思っています。
継ぎ足し羽毛はポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%、側生地は100番手平織で検討しています。いかがでしょうか?
というLINE経由のお問い合わせメッセージをいただき、お客様とのやりとりがスタート。布団を折り畳んだときの膨らみ具合やこれまでのご使用履歴などを事前に詳しくお伺いしておりましたので、お客様のご希望をかなえることができる材料を準備しながら布団の状態チェックに臨みました。
19年ほど使用していても綺麗な状態がしっかり維持されているように感じる今回のダウナ。気密性の高いマンションでは冬でも汗をかくほどの保温性を感じていたというお客様の表現もありましたので、1年のうち12月〜3,4月ごろまでの間しか使っていなかったのではないかと予想します。
日本の寝具メーカーが製造する羽毛布団は羽毛量をたくさん入れて、ときには増量して、布団としてのボリューム感と保温性をできる限り高めることに価値を見出すという考え方なのですが、ダウナは逆に羽毛量を少なくしながら1年通して長く使えることをメリットとしています。
(高い品質を誇る羽毛原料を使用するのだから量が少なくても十分保温性を実現してくれる、という考え方でもあります)
事実、冬のみではなく春や秋にもダウナを使用しているお客様は多く、当店でリフォーム希望としてお預かりするダウナも半数以上は季節を通して長く使ってきたというお客様からの依頼です。
ただ、今回のお客様にはダウナでも保温性が高すぎて冬しか使うことができなかったという事実があります。軽くてふんわりとした着心地はとても気に入っているので、気密性の高いマンションに合わせて保温性をコントロールしながらリフォームすることができれば、今よりもっと活躍してくれる羽毛布団になると思います。
生地を開いて中に入っている羽毛を取り出してみましょう。
取り出した羽毛がこちら。ポーランド産ホワイトマザーグースダウンという成熟した大人のガチョウから採取された羽毛です。
2000年代前半に製造されたダウナには「手摘み」という表記があり、手作業で丁寧にピックされた羽毛が使用されているため現在生産されているダウナの羽毛よりも高い品質を実現している可能性が高いです。
羽毛は天然素材ゆえに採取される年代によって品質にばらつきが生じます。ポーランドは世界有数の羽毛生産国ですので、年によっての品質ばらつきが少ない傾向にはあるのですが、ダウナを数多くリフォームするなかで感じる私の経験としては2000年代に製造されたダウナの方がグレードが高く、とくに羽毛がとても綺麗で良質なことに驚かされます。
「15年、20年前のダウナだからリフォームする価値があるのか不安・・・。」というお客様の声もたくさんいただくのですが、年代が古い方がリフォームする価値があるという逆転現象もありますので、あきらめて捨ててしまう前にひとまずご相談いただければと思います。
取り出した羽毛を選別してみると、小さく崩れてホコリのように姿を変えたものを発見しました。これは経年劣化によるダメージを受けた部分です。このような小さな羽毛が多くなると保温性の低下につながってきたり、生地から吹き出してくるようになるため注意が必要です。
リフォーム工程で劣化した羽毛やホコリを取り除くことができます。
一方、こちらは大きくて綺麗な綿毛のような形をしている羽毛=良質なダウンです。手作業で選別しているうちに先ほどのホコリよりもこのような綺麗な羽毛がたくさん残っていることがわかりました。
選別していた私でさえテンションが上がるほど、綺麗な羽毛が多いこと!この年のポーランドは当たり年だったのでしょうか。
粒立ちもはっきりしていて弾力性もちもちです。この羽毛は間違いなく再利用する価値があるものですので、自信を持ってリフォームをご提案することができます!
リフォームの出来あがり!
<リフォーム実施内容>
ダブルサイズ➡️シングルサイズ2枚へのリフォーム
- プレミアムダウンウォッシュ(布団を解体して取り出した羽毛を直接洗浄する)
- 新品羽毛の補充:ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%/フェザー5%を500g
- 新品生地:綿100%・100番手平織り(1㎡あたりの重さ:85g)
- シングルサイズ(150×210cm)にお仕立て
- 羽毛量:800g入り・710g入り
- 立体キルティング縫製
2枚の出来上がり参考価格:150,800円(消費税・往復送料込み)
(1枚あたり75,400円)
ダブルサイズ1枚からシングルサイズ2枚の羽毛布団へとリフォームするのが今回のプラン内容です。
ご夫婦がそれぞれ1枚ずつシングルサイズを使用するにあたり、気密性の高いマンションにぴったり合う保温性はもちろんですが、旦那様・奥様の体質にも合わせるように羽毛量を調整しています。
奥様用にお仕立てしたのは羽毛量800g入り。ほどよい保温性を感じていただけるように、そして冬でも羽毛布団だけで眠ることができるようにと考えて作製いたしました。
気密性の高いマンションであれば冬でも室温が15度を下回ることがないかと思いますので、1,2kg入りが標準の羽毛布団であっても暑すぎて使い物にならないケースがあります。であれば800g入りほどのボリューム感にあえて抑えることで季節を通して使いながら、真冬に保温性が足りない場合には薄いブランケットを重ねることで調整することができます。
旦那様は少し暑がり体質。奥様よりももう少し羽毛量を少なく設定いたします。
羽毛量は710g入り。中途半端な数字にはなりましたが、こんなことができるのもオーダーメイド、1枚ずつリフォームするからこそです。
側生地は2枚ともにダウナと同格の軽さ、通気性を実現する綿100%平織り生地を採用いたしました。ダウナの着心地の良さはできる限りリフォーム後でも感じることができるように作製しております。
また、かなり細かいところですが、羽毛量に合わせてキルティングの設定も変えています。羽毛を入れるマス目の高さ=マチを1cmずつ調整することで羽毛が布団のなかで移動しないようにしています。羽毛の膨らむパワーも計算してお仕立てを行なっていくと、保温性のコントロールとともに体への密着・フィット感も調整することができます。
リフォームが完成した羽毛布団をお届けした翌日、お客様からメッセージをいただきました。
昨日無事リフォーム後の羽毛布団を受け取りました。きれいに仕上げていただき有難うございました。
さっそく寝心地を試したいところではありますが既に蒸し暑い季節ですので秋までのお楽しみということにします。取り急ぎ受け取りの報告とお礼まで。
O様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございます。
お届けした羽毛布団が活躍するのはまだ数ヶ月先にはなるかと思いますが、ぜひ着心地の感想などをお聞かせいただくことができれば嬉しいなと思います。
またぜひお気軽にお申し付けくださいませ。
今後とも何卒よろしくお願いいたします!