こんにちは、店長です!
セミの声も一段と大きく、暑い日々が続いておりますが皆さまいかがお過ごしでしょうか??
今年も続々と日本全国から羽毛布団をお預かりさせていただいております。羽毛の吹き出しや生地の破れ、長年お使いになったことでボリュームが少なくなったなど、様々なご相談をお受けするようになりました。寝具専門店としてお客様のお役にたつことができるというのが本当にありがたいなと感じています。
大切な羽毛布団をキレイにお手入れさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
さて、今回は大阪府にお住まいのお客様から羽毛布団をお預かりした事例をご紹介いたします。
お電話にてお問い合わせをいただいたことがきっかけだったのですが、
京都西川製の羽毛布団が3枚ある。
1枚はダブルサイズで、あとの2枚はシングルサイズ。長年使用しているのでリフォームできるかどうかを診断してほしい。
という内容のお話を受け。3枚の羽毛布団がそれぞれ使用されている方も違い、年数もバラバラだということだったので、1枚ずつチェックしながらリフォームできるかどうかをまず判断した方が良いと思い、お客様から羽毛布団をお預かりいたしました!
まずはダブルサイズの羽毛布団からチェックしていきます。お客様曰くこちらの布団が一番使用年数が長いとのことでした。「ローズ羽毛布団」というタグが入っているので、製造メーカーは京都西川だということが一目でわかります。
20年近くはご使用されていると思うのですが、生地には目立った汚れやシミがなくとても綺麗な状態に見えます。日頃から定期的にカバーを取り替えたり、陰干しを行ったりと丁寧に使用されていたのでしょう。お客様が大事にこの羽毛布団をお使いだったことがよくわかります。
では中身の羽毛はどうなっているのでしょうか?生地を少し開いて羽毛を実際に取り出してみます。
取り出した羽毛がこちら。白くてふわふわとした羽毛ですので、ホワイトグースorダックダウンとなります。硬い軸のある羽根(フェザー)の混入は少なく見えるので、おそらくダウン率は90%以上だった可能性が高いです。
トレイに移して手作業で選別してみます。
選別していくと形の崩れたダウンやホコリが多いことが分かりました。パッと見ただけではわからなかったのですが、経年劣化によるダメージが羽毛に蓄積しているようです。
細かく崩れていくとこのようなホコリに姿を変えてしまうダウン。劣化が進行している証拠です。こうなると空気をたくさん含むことができなくなるので布団の中でふんわりと膨らむボリューム感が下がる=保温性が低下していきます。
加えて生地から吹き出しやすくもなるため、カバーを取り替える時などにホコリや羽毛が出てくるようになってしまうことも。ハウスダストが気になる方には注意が必要です。
もちろん綺麗な形が残っているダウンもありますが、予想よりもかなり数が少なく。見た目も少し小さめで、手で触った時に感じる弾力性も劣化しているようです。もしかしたら生育年数の短い子供の水鳥羽毛が使用されていたのかもしれません。
やはり長年使用によるダメージや劣化が進行しているようです。店長としてはリフォームしても数年でまたヘタリが出てくる可能性が高いと判断し、こちらの羽毛は再利用しない方が良いとお客様にご説明させていただきました。
西川製の羽毛布団でも種類によって品質には差がありますし、使用する方の体質や寝室環境・使用年数によっても状態が大きく変化します。
西川製だからどれでも安心、長く使っても大丈夫!という言葉だけの説明では不十分な場合があるということを頭にしっかり入れながら、1枚1枚羽毛布団をチェックする必要があるなと改めて感じました。
次にチェックするのはシングルサイズの羽毛布団2枚。こちらの方が使用年数が浅く、元気な羽毛がたくさん残っているのでは?と期待しています。
製造メーカーはダブルサイズ同様に京都西川です。
布団から取り出した羽毛がこちら。選別していきます。
小さくなっている羽毛やホコリを発見。劣化の進行が見受けられます。
一方こちらは綺麗な状態を維持している羽毛。ダブルサイズと比べて、かなり大きな形をしたダウンがたくさん入っていることが分かりました。もしかしたら生育年数の長い成熟した水鳥(いわゆるマザー)の羽毛が使用されているのかもしれません。
手触りもモチモチと弾力があり、しっかりと空気を含んでくれそう。これならリフォームする価値が十分にあります!
お客様には上記の内容を全てお伝えし、ダブルサイズはリフォームせずにシングルサイズ2枚を活用して新しい羽毛布団を作成するプランをご提案いたしました。
お客様の希望としてはダブルサイズ1枚・シングルサイズ1枚の羽毛布団。その希望をかなえるためのリフォームを行いました。
リフォームの出来上がり!
お預かりした羽毛布団を解体して中身の羽毛をしっかり洗浄。
リフレッシュした羽毛を新しい生地に吹き込めば、リフォームが完成します。
シングルサイズの羽毛布団としてお仕立てした1枚は冬用のボリューム感と保温性を実現できるように1.2kgの羽毛を入れています。
側生地は綿100%。柔らかく体にフィットする着心地を感じることができるはずです。
続いてこちらがダブルサイズ。シングルサイズ同様に冬にお使いいただくためのボリューム感を出すため1.7kgの羽毛を入れています。
完成した羽毛布団をお届けしてから数日後、こんなメールをいただきました。
このたびはお世話になりありがとうございました。昨日、羽毛布団が届きました。最初はネットで見つけたお店にお願いして大丈夫かな?と思いましたが、貴店にお願いして大正解だったと思っています。本当にありがとうございました。
新しくなった羽毛布団の仕上がり具合にご満足いただけた様子で大変嬉しくもあり、ほっと安心するひとときです。本当にありがとうございます!
ぜひこれからじっくりと着心地を実感していただければと思います。
また何かお困りごとがありましたらいつでもご相談くださいませ!
それでは、また。