20年前に購入したダウナ羽毛布団。生地破れ、羽毛が吹き出すけれど捨てたくない!

こんにちは、店長です!

今回は千葉県にお住まいのお客様から羽毛布団のお手入れについてご相談いただきました。

お電話でお問い合わせいただいたのは20年以上前に購入した大塚家具ダウナ羽毛布団をずっと気に入って使っていたというT様。春になったので掛け布団カバーを付け替えようとしたら羽毛がたくさん吹き出していることに気づき、大慌てで対策を考えているなか当店の存在を知り、一度専門店に相談してみようと思い立ったのだといいます。

詳しいお話をじっくりお伺いしながら「まずは現物の状態をチェックしてみましょう!」ということでお預かりしたダウナがこちら。

羽毛が吹き出してしまうためカバーはそのまま付けた状態でお送りいただきました。

なぜ羽毛がたくさん吹き出してくるのか、その原因を詳しく調べていきます。

カバーのファスナーを開けると、ふわふわの羽毛がたくさん!これは大変だ!

T様も最初発見したときは衝撃でびっくりしてしまったと仰っていましたが、確かにこの羽毛量は驚きです。

カバーにも布団本体にも羽毛がたくさんくっついています。これは自然に羽毛が吹き出しているのではなく、生地のどこかが破れていたり穴が開いているのでは?と想像しました。

羽毛の吹き出しを丁寧に処理しながら再度チェックしていくと、布団の端っこ部分に汚れが集中していることを発見。そして安全ピンが留められていることも確認しました。

この汚れは汗や皮脂が付着してシミになっていることが原因です。顔や首に近いところが特に汚れやすく、カバーを付けていてもだんだん布団本体が黄色く変色していきます。シミが付いたところは生地の劣化が進んで破れやすくなってしまうので注意が必要です。

また、安全ピンは布団とカバーがズレないための工夫だったと思います。ダウナはカバーを括り付ける箇所が少ないので使っているうちにどんどんズレていくのが気になっていたのでしょう。

もしこの羽毛布団をリフォームする際には掛け布団カバーがズレないように留める箇所をしっかり多めにしてお仕立てしようと思いました。

やはり生地が破れていますね…。

小さな穴からでも羽毛は吹き出してしまうため、このような破れを見つけた場合にはぜひご相談ください。間違ってもご自身で縫ったりしないようにしてください。縫穴から更に羽毛が吹き出してしまうかもしれません。

ダウナ羽毛布団は軽くてあったかくて、通気性が高いので年中使えるような着心地が魅力です。T様も他の羽毛布団では味わえない着心地の良さを大変気に入っているので捨ててしまうのはちょっともったいないな…といいます。

これからも気持ちよくお使いいただけるようにリフォームできるかどうか、中に入っている羽毛の状態をチェックしてみましょう!

ここからは店長にバトンタッチ。生地を少しずつ開きながら中身を取り出せるよう準備します。

生地を傷つけないよう慎重に、慎重に。

白くてふわふわの羽毛を取り出していきます。

羽毛を集めたところで、ここから手作業で選別。

選別していくとまず気になるのは小さな羽毛やホコリ。20年以上お使いになることでだんだんと羽毛も劣化していきます。

はじめは大きかった羽毛が摩擦によって擦れて小さくなってくるとこのような状態に。この羽毛たちは以前のような膨らみ・保温力を出すことが厳しくなっているため、リフォーム工程のなかで丁寧に取り除くことに。

ホコリが少なくなることで羽毛の吹き出しを抑えることができるため、このクリーニング作業はとても重要です。

一方で、大きくて綺麗な形を維持している羽毛もたくさん発見することができました!粒立ちもはっきりしていて、かなり優秀です。20年以上前の羽毛ではありますが、現在流通する原料よりも秀でているといっても過言ではありません。

マザーグースダウンならではの膨らみ、そしてパワー。これを捨ててしまっては神様に怒られます。

生地は破れていても中身の再利用は十分に可能です。むしろ、新品を購入するよりもグレードの高い羽毛布団を作製することができる可能性もあるほど。

この結果をT様にお伝えしたところ、非常に喜んでいただくとともに安堵の声もいただきました。

思い出のたくさんつまった羽毛布団ですので、これからもご愛用いただけるようリフォームさせていただきます!

3週間後、リフォームが完成!

<リフォーム実施内容>

  • お預かりした羽毛布団を解体して中身を取り出す
  • 取り出した羽毛を綺麗に洗浄する
  • 劣化した羽毛や小さなホコリを取り除く
  • 濡れた羽毛は温風と冷風を繰り返しながらふわふわになるまで乾燥させる
  • 側生地を新調する(ドイツ製 最軽量 綿100%平織り)
  • 側生地に羽毛を吹き込む
  • 目減りした量とパワーを補うために新品羽毛を補充(ポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%使用)
  • 羽毛量:現状と同じ1,050g入り
  • たて6マス、よこ5マス立体キルト縫製
  • シングルサイズ(150×210cm)にお仕立て
  • カバーを付けるループを8箇所に設置

出来上がり金額:77,000円(税込)

リフォームが完成した羽毛布団がこちら。

いつまでも触っていたくなるようなすべすべ、つるつるした質感。体にぴったりフィットする軽やかな着心地を実現することができました!

ダウナにはドイツ製の側生地が使用されているのですが、新調した側生地もドイツ製のものを採用することで軽量かつ通気性の高さをしっかり維持しています。

ダウナよりも生地の打ち込み本数が多いので引っ張りにも強く、より破れにくくするということも考慮して素材を選定いたしました。もちろん綿100%です。

羽毛量は1,050g入り。足りない量を補填しながら現状と同じグラムにすることで、冬でもこれ一枚で暖かく快適な着心地を実現することができます。

完成した羽毛布団をお届けしてから数日後、実物を見たT様からご連絡いただきました。

昨日こちらに到着したので早速開封。側生地も元々のより艶やかで豪華な気がします。ふっわふわで軽いです!

お陰様でこれで秋口あたりまでお布団を収納することが出来ます。あの状態では、干すこともカバーを洗うことも出来ず、保管もできず…。なのに気温はどんどん暑くなってきていてどうしようもない状態でした…。

本当に、この度は助かりました。ありがとうございました!

仕上がり具合にご満足いただくことができて本当に嬉しいです✨ありがとうございます!

ご遠方から寝具のご相談をいただき、こうして少しでもお役にたつことができているとすれば寝具専門店として光栄なことです。ぜひこれからもお悩みやお困りごとがあればいつでもお気軽にご相談くださいませ。

ぜひ、今年の冬も快適におやすみいただければと思います。

今後とも何卒よろしくお願いいたします!