
こんにちは、店長です!
寒い冬が終わり、だんだんと春が近づいてきているような今日この頃。冷えは少なくなりましたがこの季節からは花粉に悩まされることも多くなり…。ティッシュ片手にお仕事しております店長です。
さて、今回は神戸市にお住まいのお客様からリフォームのご依頼とともに羽毛布団をお預かりいたしました!
お問い合わせメールフォームからいただいたメッセージには、
先週から新しく購入した羽毛かけ布団を使い始めたのですが、
最初はちょうどよい暖かさなのに明け方暑苦しくなります 原因を調べていたら、
こちらのサイトでリメイクができるとの記事があったので可能であ ればお願いしたいと思います。
ロマンス小杉のものでサイズ150×210㎝、ハンガリーマザーシルバーグースダウン95%フェザー5%。二層式キルト上層0.7Kg 下層0.5Kg ダウンパワー440です。 生地がポリエステル40%綿30%
セルロース30%なので生地は綿100%にしたいです。 マンション住まいですので冬用と夏用に分けていただけたら( ブログにあったように)と思います。よろしくお願いいたします。
というお話が。せっかく楽しみにしていた羽毛布団の使い心地がちょっとイメージと違ったりするとなんだか悲しいですよね…。
「明け方暑苦しくなる」ということはお客様の体質、そしてご自宅であるマンションの寝室環境とはうまくマッチしなかった可能性があります。
メーカー製造の羽毛布団は主に冬に使用することを前提に作られているという前提はありますが、羽毛量が多すぎたりすると保温性が高すぎて暑苦しいし、生地の通気性が足りないと湿気が逃げないのでジメジメ不快なムレを感じてしまいます。
今回の羽毛布団がいったいどのようなタイプなのかを探るため、まずはお預かりしてきちんと状態をチェックすることから始めました。

お預かりした羽毛布団。まずは布団に付いているタグをチェックしていきます。
製造メーカーはロマンス小杉。京都にある寝具メーカーさんで当店でも取引のある、信頼できる会社です。どこのメーカーか分からない代物ならば少し不安にもなりますが、ロマンス小杉なら何かあっても直接問い合わせできるし、品質や使用されている素材に不備があるような可能性は低いです。

次に仕様をチェック。中に入っている羽毛原料のスペックおよびグラム数、側生地の種類などを見ていきます。
「ハンガリーマザーシルバーグースダウン」という名称の原料が使用されており、ダウン率は95%。生育期間が長く、親鳥になるまで育てられたことを意味するマザーグースダウンの呼称が入っていることで、まずこの羽毛布団の品質は高いものだと予想できます。
生後半年そこそこの若鳥から採取される羽毛(いわゆるレギュラーグース)よりもマザーグースダウンの方が羽毛ひとつずつが大きくて弾力性が強く、保温性をしっかり生み出すパワーがあります。それが1.2kgというたっぷりの量が入っているのだから、暖かさとしてはトップクラスですね。寒冷地にお住まいの方や寒がりの方には特に重宝されるはずです。

しかし、お客様は神戸市内にお住まい。冬でもそこまで気温が下がる地域ではないとともに、気密性の高いマンションなのでここまで保温性の強い羽毛布団はそもそも必要なかったのだと思います。
マザーグースダウンには一切非はないのですが、お布団に入れる量・側生地の通気性の低さ・2層式という保温性をさらにっ強くしてしまう製法というトリプルパンチによって、今回のお客様にはどうしても扱いにくい、暑苦しくてしんどい着心地になっていることが判明しました。

ちなみに羽毛を取り出してみるとこんな感じ。

ほぼ新品なので当然といえば当然ですが、綺麗な羽毛です。「シルバー」という名称のとおり、羽毛にはうっすらとグレーっぽい色付きがありますが、これは水鳥の品種によるところなので全く問題なし。大きくて密度のある羽毛、ダウン率95%なので硬い芯が付いているフェザーの混入が少ないのでガサガサしておらず、ふわっふわです。
ホワイトグース、ホワイトダウンという呼ばれるものは羽毛自体に色付きがないため、ホワイト無地の側生地などを使用する場合には色が浮き出ることがありません。このあたりは好みですが、せっかくの羽毛布団なので購入時には店員さんに聞くか説明欄をよくチェックすることをおすすめします。
お客様にぴったりの羽毛布団にリフォームする方法

<リフォーム実施内容>
- シングルサイズ➡︎シングルサイズ2枚へのリフォーム
- 羽毛布団の解体
- 中に入っている羽毛を取り出す
- 新品羽毛の補充:なし
- 新品生地:日本製 綿100%平織り生地(1㎡あたりの重さ:94g 通気性の向上)
- 羽毛充てん量:冬用800g入り、夏用400g入り
- シングルサイズ(150×210cm)にお仕立て
2枚の出来上がり合計金額:55,000円(消費税・送料込み)

大前提としてお客様のご希望としてお伺いしている
- 冬用と夏用の2枚にリフォームしたい
- 側生地は綿100%にしたい
- 使いやすく、暑苦しくないようにしたい
という3つのポイントを押さえることができるようにプランを考えました。
リフォーム前には1.2kgの量が羽毛布団に入っているので、まずは布団を解体して中身をすべて取り出します。
長年使用した羽毛布団ならば適切に洗浄やクリーニングを行いながら汚れ・ホコリを落とすのですが、今回は新品の羽毛布団なので選別だけでOK。取り出した羽毛をできる限り再利用していきます。

神戸市内に住んでいること。マンション住まいであること。そして何より「明け方に暑苦しい」という事実。
冬用としては羽毛量800gに設定し、化学繊維がブレンドされていた側生地を綿100%に新調して吸湿・放湿性能をアップさせることが不可欠だと考えました。暑苦しさは羽毛の保温性とともに寝ている間にかく汗や湿気が布団内部にたまってしまうことが原因です。

夏用はもっと薄くして400g入りに調整。こちらも綿100%生地に新調しながら軽やかな着心地を実現していきます。
ここ最近の夏は以前とは比べ物にならないほど暑く、熱帯夜には朝までエアコンをかけ続けることが推奨されます。冷房の風は涼しいものの体に直接当たるとどうしても冷たすぎるため、このような薄い羽毛布団で体を保護してあげるととても気持ち良いのです。


マザーグースダウンを使用しているので800gでもこれだけボリューム感が出てくれます。
真冬には薄い毛布を一枚プラスしたりすれば調整することができるので、季節に応じて長くお使いいただくことができれば嬉しいです。

C様、この度は当店をご利用いただきまして誠にありがとうございます。
新しいカタチになった羽毛布団でこれから気持ちよく、快適におやすみいただけますと幸いです。
引き続き今後とも何卒よろしくお願いいたします!