なんとなく首がムズムズするときについやってしまう「首ポキ」。ポキっと鳴らすと肩や首がスーっと軽くなる気がするので、私もついついやってしまうことが多いです。
ポキポキという音は、首や手の指などの関節が強く曲げ伸ばしされることによって生じるらしいのですが、詳しいことは今まで分かっていませんでした。しかし2015年4月、関節から鳴る音のメカニズムが解明され大ニュースになったのです。さっそくその内容を詳しくご紹介します!
どうして関節から音が鳴るの?
関節がポキッと鳴る理由については数十年前からさまざま説が唱えられていました。いままでの説では…
- 関節が強い力で急に引き離された結果、滑液(関節の動きを滑らかにしている粘性のある液体)の圧力が低下し、気泡のような空洞部分が形成されるためではないか。
- 間接腔にあった空気がパーンと弾けることで音が鳴るのではないか。
いままでは①の説が有力だと考えられてきたのですが、実証された訳ではないので、根本的にはっきりしないまま今日までズルズルと…。
そこで今回、長年の論争に決着をつけるべく立ち上がったのが、カナダ・アルバータ大学でリハビリ医学を教えるグレッグ・カウチャック博士。彼の研究グル―プが「関節が鳴る理由」を解明し、2015年4月15日にオンライン・ジャーナル「PLOS ONE」上で発表したのです。
MRI撮影が捉えた! 関節が鳴る瞬間。
カウチャック博士たちは、世界カイロプラクティック連合(WFC)研究委員長で、カイロプラクターであるジェローム・フライヤー教授の協力を得て、彼の指を特注機器で引っ張る様子をMRIで撮影。ポキッと鳴った瞬間の関節内部で起きていることを、すべて映像として記録したのです!
そこで判明したのは、関節が強い力で急激に引き離されると滑液の圧力が下がり、ガスの気泡が生じている事実でした。炭酸飲料のフタを開けたときに小さな気泡がコポコポコポっと上がってくる感じが近いです。そして、下がった圧力を戻そうとする力によって、ある瞬間に滑液が一気に隙間へと流れ込み、ポキッという音が発生。音が鳴ると同時に気泡が消えていました。これが今回のMRI撮影で解明された一連の流れです。
MRIで撮影された動画
今回のMRI撮影ではそれ以外に音を生じさせそうな要素は確認されなかったとのこと。
カウチャック博士は今回の発表を通して、
「その時々によって、関節を鳴らせたり、鳴らせなかったりすることがありますよね。もしかしたら、関節の健康度を計るために使えるかもしれませんよ。新しい視点というわけです。」
知的好奇心の扉 トカナ
と語っています。
関節をポキポキ鳴らすのは良いこと?悪いこと?
関節をポキポキ鳴らすことが身体にどれだけの影響を及ぼすのか、ネットやTVで話題になることが多いこの問題については明確な答えは出ていません。整体師さんやマッサージ屋さんは関節を鳴らすことで頸椎の筋や血管に負担がかかるのでやめた方が良いという意見だったり、カイロプラクティックでは関節を鳴らしながら骨のゆがみを正す施術を行ったりしています。
1回や2回ポキっと鳴らす程度では身体に影響はないと考えますが、やりすぎは禁物でしょう。クセになるほど関節を鳴らしてしまうということは、身体が何らかのSOSを出している証拠だと思います。
一番大切なのは、自分だけで判断しないことです。
きちんとした検査を行い、あなたのお悩みは何が原因なのかを明らかにすることをまず行いましょう。肩こりぐらいで…と思わずに、整形外科などの医療機関に相談するのも解決の一歩だと思います。