無印良品の脚付マットレス・ベッドを解体!腰痛の原因はマットレスのヘタリ?

こんにちは、店長です!

当店ではベッドやマットレス買い替え時に不要なベッドを回収する作業を行なっています。先日もベッドフレーム・マットレス、ベッドパッドとシーツをお客様宅にお届けしたときに「無印良品のベッド」を引き取ってきました。

お客様曰く、

使って数年ではあるがなんとなくヘタってきたのか柔らかく感じていて、特に奥さんの腰痛がつらくなっているのでベッドの買い替えを検討している。

というご相談をいただいていたので、何かしらの変化や問題が起きていたはずです。

数年使用した無印ベッドが一体どうなっているのかを検証するため、ベッドを分解してみました!

無印良品の脚付マットレス

回収したベッドはこちら。無印良品製造のベッドのなかでも一番人気があるモデルだと思います。

脚付マットレスという名前のとおり、ベッドフレームに直接脚を組み込むスタイル、ヘッドボードなしのスタイルでお客様が使用されていました。サイズはシングルサイズです。

脚は取り外しできるとともに長さを選ぶことができます。お客様は小さなお子様と一緒に寝るため、短い脚を付けて使用されていました。

こちらがマットレス本体。昔の脚付マットレスはフレームとマットレスがくっついていて簡単には分解できないようになっていたのですが仕様が変わっていて。マットレスっとフレームは別々の部品になっていました。

向きを伝えるシール。

マットレスは不織布のシーツというか、カバーに覆われていて、ファスナーで着脱できるようになっています。

本体カバーを外していくと、中身が現れてきました!

黄色くなっているのはウレタンフォーム。2cmほどの薄いシートが巻き付けられています。

黄色く変色しているのは日焼けによるもの。最初は真っ白だったウレタンも経年変化で色が変わることがあります。

ウレタンの下には黒色のフェルトがありました。これも薄いシート状になっています。フェルトは水分を吸収したり、下にある金属スプリングが外にはみ出さないようにする役目として使用しているものと思われます。

ウレタンシートがセットされている方が表側とのこと。実際に使用する向きにしてみました。

寝心地の良し悪しを決める金属スプリングはポケットコイルという形状。コイルひとつひとつが不織布と呼ばれる白い布に包まれ、それぞれ独立した動きができるように分離されています。

スプリングベッドはボンネルコイルと呼ばれる、金属がすべてつながっているタイプのものもありますが、寝心地が良いとされているのはポケットコイルの方です。

ボンネルコイルはトランポリンのように跳ねるバネ感がとても強い反面、かなり硬くてハードな寝心地なので使う人を選びます。

対してポケットコイルは反発性能が優しくて荷重がかかったところが沈みこむように設計されているので、体にうまくフィットしやすい設計がなされていることが多いです。

柔らかく体にフィットする寝心地を出せるポケットコイル。それゆえに、ポケットコイルは部分的に凹みやすくなるという宿命を持っています。

お客様が実際に使用していてだんだんと体が沈みこむようになり、結果的に朝起きたら腰が痛くなってしまうということですので、どの程度の沈み込みがあるのかマットレスの上を歩いてみました。

まずはマットレスの端っこから。

このあたりはそこまでヘタリを感じません。スプリングの反発をしっかり感じます。

マットレスの真ん中に移動してみます。

すこしグニュッとした質感に変化してきました。おそらくこのあたりに腰やお尻が乗っかっていたのでしょう。腰部分には体重の約44%が集中しますので、マットレスの真ん中部分はやはりヘタリが早くなる傾向があります。

寝ているとき、特に仰向きで寝ているときに腰が沈むと違和感を抱く傾向が強いです。腰がピキピキいう感覚とともに、背中まで痛める可能性もあります。

寝ているときに体が沈んだり、寝返りが打ちにくく感じているとすれば、マットレスのヘタリが発生している可能性がありますのでご注意ください。

前に進んでいくと、スプリングの力強い反発がもどってきました!

このあたりは背中や頭が乗っかっていた部分だった可能性がありますね。

うん、やっぱり真ん中部分はどうしても凹む。柔らかくなっているんだなぁという実感があります。

このような部分的は変化、ヘタリはどの素材でも・どのメーカー製品でも当然起こりうることです。

金属でも、高反発ウレタンでも低反発ウレタンでも、ラテックスでも、ポリエチレン樹脂でも同じことです。

大切なのは、変化が生じたときにメンテナンスできるかどうか。

部品をローテーションしたり、分解してメンテナンスしたり、ウッドスプリングを併用してタイミングに応じて強度を変えることができるようにすることが「長く快適に使用できるマットレス」の醍醐味だと当店では考えています。

金属スプリングはメンテナンスや調整する機能性がどうしても乏しいのかなというのが、当店の見解です。

スプリングの状態もチェックするため、個包装されている部品を外してみます。

カッターで不織布を外していきます。怪我しないように注意しながら。

お、スプリングが顔を出しました!

土台からスプリングを外してみましょう。

ぐっっと力を入れているのですが、外れにくく。しっかり頑丈に作られています。

知恵の輪を外すようにクルクルと回していくと、

取れました!これが脚付マットレスに使用されているスプリングです。

これだけ見るとまだまだ綺麗で使えそうなのですが、残念ながら産業廃棄物として処理します。

お住まいの地域や行政によって対応が分かれますが、スプリングマットレスを粗大ゴミとして捨てることができない地域があります。松山市もそのひとつ。

捨てるには業者にお願いするか、金属・布・クッションをすべて選別してそれぞれ別の処理方法で捨てるということになるので、とてつもない労力がかかります。

何かに使えないかなといつも思うのですが、結局オブジェにしかならないんですよね…。辛いところです。

最近ではニトリやフランスベッドが「処分しやすい金属スプリングベッド」という商品をリリースしていました。どうせ購入するなら、ゆくゆくのことを考えて処分しやすいものの方が自分にも、処理する側にも良いと思います。ゴミを減らすことは地球環境にも良いことですので、このような商品開発をメーカーさまには続けてほしいなと思います。

当店でスプリングマットレスを販売しない理由はいくつかあるのですが、「処分に困る」というのはとても大きな要素です。

もちろん、腰が沈んでしんどくなるなどの寝心地面からの理由もありますが、これからの時代を考えると長く使い続けられることと処理しやすいことは両立して考えなければいけないと思います。

ウレタンフォームや天然ゴムは素材で勝負しているからこそ、分解しやすく処理しやすい。畳むこともできるので、引越しなどの移動の際にも便利です。

ベッド、マットレスを選ぶときには自分にぴったり合う寝心地とともに、暮らしやすさにフィットする性能という面にも注目していただけると嬉しいなと思います!